受験勉強、語学学習…、記憶が定着しやすい睡眠法とは?

健康

2014/7/31

 夏は、仕事も遊びも頑張りたい季節だ。ステップアップのために資格試験や語学学習をする傍ら、海に花火に旅行にと過ごしていると、寝ているヒマもあまりなさそうな気もしてくる。だが、睡眠こそは一日を快適に過ごすための要。暑さで寝苦しいという日も少なくはないが、今の季節だからこそ、睡眠ときっちりと向き合いたいものだ。

 宮崎総一郎氏著『脳に効く「睡眠学」』(角川SSコミュニケーションズ)では、起きている時間をアクティブに過ごすための眠りの知恵が紹介されている。宮崎氏によれば、人が睡眠をとるのは、脳の修復のためだという。身体の疲れは横になるだけでもある程度回復するが、疲れた脳を回復させるには、睡眠以外には方法がない。1.5mもの身体を持ちながらビー玉程度の脳しか持たないマグロは、夜になると4~5秒のごく短時間、急に泳ぐスピードを落とすというマグロ流の睡眠をとっている。そんな小さな脳ならばそれでも良いのだろうが、高度に脳が発達した私たち人間は毎日、何時間もの睡眠を取らないと十分に脳を回復できないのだ。医学、脳科学、社会経済など多角的なアプローチで睡眠について研究している「睡眠学」を学べば、脳を回復させ、より充実した夏を送るための実践的な方法を知ることができるだろう。

 たとえば、宮崎氏は資格取得や語学習得を目指す者必見の、睡眠を記憶定着に結びつけさせるための方法を紹介している。大人になってからも勉強の機会は意外と多いものだが、学生時代と違って、勉強に充てる時間には限りがある。資格取得などの勉強には、「記憶する」という作業が必要不可欠であるが、睡眠は「記憶」の定着に大きな役割を担っているのだという。たとえば、ある実験では、24個の単語を夜22時15分から23時まで学習し、暗記できた単語が60%に達した時点で学習をやめ、一方のグループはそのまま起きていさせ、他方は睡眠をとらせ、3時間後の午前2時に再びテストを行なった。すると、起きていたグループに比べて睡眠をとったグループの方が32.4%も成績が向上していたという。「長期記憶」の定着に、睡眠は大きな役割を果たしているのである。

 私たちの脳は日々さまざまな情報が入ってくる。たとえば、英会話教室に行くまでの車や電車の中で見た景色、広告、車、電車の音など、インプットされた情報は重要であるかないかに関わらず、すべて私たちの脳の中にいったん蓄積される。情報が蓄積される一方ならば、コンピュータのハードディスクと同様に記憶容量はパンクしてしまう。インプットされた情報を必要なものと不必要なものとに選別して、必要なものは記憶させ、不要なものは削除するという作業が脳内で毎日行なわれる、それが睡眠なのだ。理想的なのは学習した直後に眠ること。学習で得た記憶が新鮮なうちに睡眠によって整理されれば、より確実に必要な情報をしっかりと定着されることができる。宮崎氏によれば、これは「身体の記憶」、運動能力の習得においても有効だという。

 また、何か大事なイベントが翌日に控えている日、「明日は朝が早いから、早めにベッドに入ろう」と思うことは誰にだってあるはずだ。しかし、早くベッドに入ったもののなかなか寝付けず、寝不足のまま出かけるはめになった経験はないだろうか。宮崎氏はそんな人のために、なかなか眠れなかったり寝苦しい思いをしたりせずに眠りにつくための方法を伝授している。

 宮崎氏によれば、人が眠くなるには2つのケースがあるという。ひとつは、疲れがたまり、睡眠中枢に働きかけて眠気を誘発される場合(ホメオスタシス)だが、人は疲れに関係なく体内時計によって一定の時刻になると眠くなる場合があるのだ。朝目覚めて光の刺激を得た15~16時間後に、体温を下げたり、呼吸や脈拍、血圧を低くしたりして眠るために適した生理的変化を引き起こすメラトニンが分泌させ、眠気を催させる。つまり、眠りたい時刻の15~16時間前に起床すれば、快適な眠りにつくことができる可能性が高いそうだ。

 夏はイベント盛りだくさん。勉強に遊びにアクティブに過ごすために夜は快適な睡眠をとって、起きている時間にそなえよう。

文=アサトーミナミ