これ間違いです→「高い化粧品をチビチビ使うより、安い物をたっぷり使った方がいい」

美容

2014/10/10

 秋到来。春から夏にかけて浴びた紫外線によるシミが突如、大量発生したため、美白化粧品を買いに百貨店へ駆け込んだ。「これでシミ消えますか?」「できてしまったシミは消えませんが、予防はできます」…そ、そうか。消えないのか。レーザー治療でもするしかないか。

 参考までに読んだ、『9割の人が間違っている化粧品「効きめ」の真実』(近藤須雅子/講談社)。「シミは消えます」…は、はい? 消えないって確かに言われましたけど? 本書によると、シミの原因となるメラニン色素は、垢と一緒に毎日はがれ落ちる。が、新たなメラニン色素が補充されるために、シミが消えないように見えるだけ。つまりは新たに作られるメラニン色素を防げば、古いメラニン色素は勝手にはがれ落ちるので、見た目のシミは消える。

 じゃあ、なんで百貨店のお姉さんは「シミは消せない」と言ったのか? それは、薬事法で「シミを消す」「シミに効く」といった治療効果を謳ってはいけないと定められているから。更には「化粧品は効いてはいけない」とも法律で定められている。…は、はい?「化粧品が効いていいのは角質層まで」。…は、はい? 肌は3つの層から成っていて、肌表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」。表皮は4つの層に分かれ、一番上が角質層。「角質層だけケアしても、意味ないじゃん…」と思ったが、メラニン色素は角質層に現れるため、とりあえず見た目のシミは消えるというのだ。

 化粧品は謎が多い。例えばもはや常識となりつつある、「高級品をチビチビより、安い物をたっぷり」説。逆の説もある。本書によると、両方とも間違い。模範解答は、「値段に関わらず適量を」。高級品をチビチビ使うと、効果が十分に発揮されない。かと言って、適量より多く使っても肌が受け入れられない。適量より少なく使うと摩擦が起きたり、ムラになって塗り残しになったりする。500円玉大、パール大といった使用目安は、各ブランドが「それぞれのテクスチャーに合わせて、ムラなく十分になじませられる量を計算したもの」だそうだ。

「ライン使い(同じブランドでそろえる)をした方がいいのか?」というのも諸説ある。化粧品カウンターへ行くと、当然のようにライン使いを勧められるが、「大量に買わせようとしてるだけじゃないの?」という疑念を抱く。しかしメーカーがライン使いを勧めるのには理由があるという。「ライン使いをしたときに互いに補完し合うことで、単品で使うよりも更にパフォーマンスが高まるように設計している」。…それは化粧品カウンターで100回くらい聞いてるよ。しかし、(なるほど!)という例が紹介されていた。

 クリニークの「クラリファイング ローション」。化粧水ではあるが、このアイテムは“拭き取り用”。洗顔後、化粧水で古い角質を取り除き、その後の乳液で保湿する、というステップだ。これを知らずに保湿化粧水として使っては、保湿力が足りないのは当然のこと。しかし実際に使用した人から、“肌が乾く”といったバッシングが多数あったそうだ。拭き取り用に作られた物なのに、ローションパックに使った人が多かったからだというから、化粧品の知識に自信のない人は「ライン使いが無難」という著者の見解も頷ける。

 化粧品にまつわる情報は氾濫している。皮膚科医や美容ジャーナリスト、開発者の間でも真逆のことを主張しているのだから、一般人にはなにがなんだか訳が分からない。本書には、「コットンは使うべき? 手でいい?」「朝と夜ではケアを変えた方がいい?」といった素朴な疑問から、「全成分表示とは?」「化粧品の広告のカラクリ」まで、化粧品業界の第一線で活躍している専門家たちの意見に基づいた、目から鱗が落ちる情報が盛りだくさん。中でも、「化粧品被害はなぜ起きるのか?」については、報道では知ることのなかった衝撃の事実が。本書を読むと、化粧品の見方が確実に変わるはずだ。

文=尾崎ムギ子