16年間、カラスをペットとして飼い続けて分かったこと【けっこうカワイイ?】

コミックエッセイ

更新日:2020/5/11

 さらに、かぁ子りんはとてもくさいらしい。きれい好きのため、寒い冬でも天気が良い日にはベランダで水浴びをするそうだが、それでもスパイシーで野性的なにおいが消えないという。そもそもハシボソガラスは、墨汁とキュウリを足して2で割ったようなニオイがするそうだ。

 残念ながら、とても飼おうとは思えない。犬養さん自身「カラスだけは拾うな!」と警告する。それでも、犬養さんはかぁ子りんが2013年12月に最期を迎えるまで16年もの間、世話し続けた。そして今、かぁ子りんのことを思い出すたびに、泣けて泣けてたまらないという。それはなぜか。ご存じの通り、カラスはとても頭がいい。ある研究によれば犬よりも賢いそうだ。そんなかぁ子りんは、ものすごく犬養さんになついていた。

 かぁ子りんは普段「がぁがぁ」と鳴くが、犬養さんが買い物から帰ってくると、「ワンワン」と犬の鳴きまねをして大興奮しながら迎えてくれる。大好物の生肉をちらつかせると、すかさず甘えてくるそうだ。エサの器や小屋の床を壊すほどの破壊力を持つくちばしで、犬養さんの手をつんつんと優しくつついて肉をおねだりする。そして、「グェ~」と幸せそうな声を発しながらガツガツと食べる。

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 また、カラスを触ることさえないので知る由もないが、かぁ子りんは頭をなでられるのが好きらしい。犬養さんがその小さな頭を指でなでてあげると、うっとりと気持ちよさそうな顔をして目をつぶるという。

 その様子はまるで犬と同じ。いや、従順な犬よりも独立心の強い猫よりも、怒ったり喜んだり感受性がとても豊かだ。害鳥として凶暴性ばかりが目立つカラスだが、実は心をもった生き物であることがわかる。

 都会にカラスが増え、人間とのにらみ合いが続く昨今。互いの心の距離をもっと縮めることができたなら、カラスとのゴミ捨て場戦争によりよい打開策を見出し、仲良く共存できる道を探すことができる…かもしれない。

文=佐藤来未(Office Ti+)