LINEの既読スルーで人が傷つく理由とは? 伝えたいことをスルーされない方法とは?

人間関係

公開日:2015/3/23

 みなさんは、ふと不安になることはないだろうか。「世の中には情報があふれているけれど、自分はちゃんと情報を受け取れているのだろうか」と。筆者などはそんな不安にかられた結果、流行に乗り遅れたくないという強迫観念にとりつかれ、毎晩夜中までスマホの画面に見入ってしまい、寝不足の日々を送っている。

 そんな不安をかかえたすべての人に読んでほしいのが、“没個性化せずに膨大な情報と付き合っていく”ためのヒントが満載の『99.996%はスルー 進化と脳の情報学』(竹内薫、丸山篤史/講談社)である。

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1年間で有史以来1999年までと同じ量の情報が増加! そして…

 本著によると、「有史以来1999年までの世界に存在する情報は1TB(テラバイト)のハードディスクドライブ200万~300万個分」という研究結果があるそうだ。これが多いか少ないかは個人の感覚によると思うが、ショッキングなのは、1999~2000年の1年間でそれと同じ量の情報が増えたということである。しかも翌年、翌々年…とその後も毎年同程度以上の情報量が増え続け、2011年には2000年時の600倍も増加したというから、まさに現代は“情報のビッグバン”とでもいうべき状態である。ちなみに情報密度はこの20年で5000倍になっているという。

 ここまでくると、超文系の筆者にはまったく想像がつかないが、こんな天文学的数字では「世の中に氾濫するすべての情報を処理するなんて自分には到底無理だ」、ということだけは理解できた。

私たちが処理している情報は全体の0.004%のみ!

 前述のように、世界中の情報量は直近10年程で爆発的に増えたものの、もちろん人間の情報処理能力が短期間で急に高くなるはずもない。ではどのくらいの処理能力があるかというと、処理できるのは全体の0.004%のみ…残る99.996%はスルーしているのだとか。これはひとえに増え続ける情報量に対して人間のスペックが追い付かないのが原因であり、例え不眠不休でネットサーフィンをしたとしても、すべての情報を処理するのは不可能なのだ。

「スルー」は現代人の処世術

 このように、私たちの身の周りにある情報が膨大であるがゆえに、もし受け取った情報すべてを処理しようとすれば時間はいくらあっても足りず、生活自体がなりたたなくなってしまうというのだ。そこで近年では“スルースキル”などという言葉があるように、「いかに多くの情報を処理するか」よりも「いかに上手くスルーするか」というところに重点がおかれていて、これこそが現代人にとっての処世術であり、「氾濫する情報に対する正当防衛」かもしれない、と著者は語る。そして実は、IQが高い人ほどスルースキルが高いということを裏付ける研究結果も出ているというのだ。

「スルーされる」と傷つくのには、2つの要因がある

 本著の中で言うところの「スルー」とは、「入ってくる情報に対して、自分の反応を表明しないこと」と定義されている。例えば、メールが届いたのに気付いても返信をしない(または後回しにする)、ラジオはBGM替わりにつけておく…などである。また「スルー」の反対語は「即レス(速攻でレスポンス/応答する)」であり、極端なスルーは「ブロック(情報を遮断する)」と言い換えることができるという。

 現代人にとって、スルースキルはなくてはならないものとは言え、スルーされた方は多少なりとも傷つくものだ。それによって人間関係に亀裂が入ってしまうこともままある。LINEの“既読スルー”問題などはその筆頭で、トラブルに発展する例が頻繁に発生しているのはご存じだろう。

 では「スルーされる」となぜ辛いのか。本著によるとその要因は「承認要求」と「コントロール要求」によるものだという。1つ目の要因である「承認要求」とは、誰かに何かを認めてもらいたいという欲求のことだ。そして2つ目の要因は、物事を思い通りにしたいという「コントロール欲求」によるものだという。

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