オンナもこっそり濡れる 「官能小説はエンタテインメントだ!」
更新日:2013/8/13
コアターゲットは30代女性「官能小説はむしろ女子のほうがとっつきやすいはずなんです。男よりも妄想がたくましいから(笑)」 そう教えてくれたのは前編のガールズ座談会にも参加してくれたイラストレーターのいしいのりえさん。彼女が表紙イラストを手がける官能文芸誌「悦」は、現在主な購読層が「50代男性」と「30代女性」に二極化しているそうです。 「『悦』は軽いエッセイや面白い読み物も結構多いですから。明らかに女性受けを狙っている企画もよく見かけますよ」 advertisement ではいしいさんが同性にお勧めできる官能小説家は? 「個人的に一番好きな作家は草凪優さん。彼の作品は女性にも自信を持ってお勧めできます。『みせてあげる』は22歳の主人公の男が30歳のストリッパーに一目惚れする話なんですが、これはもう純愛小説と言ってしまってもいい。女性描写がしっかりしているので引きこまれますよ。レーベルとしては幻冬舎アウトロー文庫が書店でも手に取りやすくてお勧めです」 “初体験”はアンソロジー短編集が正解男性の意見も聞いてみましょう。プロの読み手でもある官能小説評論家・永田さんが女性にお勧めできる官能小説家は? 「作品にもよりますが、藍川京さん、小玉二三さん、姫原ななみさんら女流作家はいいですね。彼女たちは情感を描くのが非常に巧み。藍川さんは流麗な文章で意外とハードな内容のギャップ、小玉さんは女性ならではの心理描写の細やかさに定評があります。練達の館淳一さんの『卒業』(幻冬舎アウトロー文庫)も傑作。結婚式を翌日に控えた娘とその養父が最後の性愛に溺れていく話ですが非常に読み応えがあります。女性賛美でフェチの濃い睦月影郎さんの作品も読んでみては?」
そして永田さん、いしいさんの共通意見は「短編アンソロジー」を入り口にすること。 「さまざまな作家の短編を集めたアンソロジーを読んでみて、そこから自分とフェティシズムが一致する、つまり肌に合った作家を見つけるのが一番の近道。そこからその作家の他の作品も手に取ってみて……と段階を踏んでいけば、女性読者もきっと楽しめるはずなんです。女性で官能小説が好きだという人は、自分に合ったお気に入りの作家を見つけた人、というパターンが多いんですよ」(永田さん)
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女性の美しさや柔らかさをイメージさせる、物語性を重視した女性を中心に描くイラストレーター。石田衣良、新堂冬樹氏などの装幀の他、団鬼六、館淳一氏などの著名官能小説作家の装幀も数多く手掛けている。執筆活動として「サイゾーウーマン」では官能小説レビューの執筆、文芸誌「悦」(無双舎)では装幀イラストの他にもエッセイを連載中。 草凪優/祥伝社 新宿歌舞伎町で初めてのナンパ。 フリーターの上原秋幸は、愁いを帯びた由衣に一目惚(ひとめぼ)れした。「ふつうの女の子みたいに抱かれてみたかったの」と涙を浮かべる彼女。翌日から秋幸のストリップ劇場通いが始まった。彼女は踊り子だったのだ。あの夜の涙は何だったのか? 求愛を拒絶し続け、地方巡業に旅立つ由衣を追いかける秋幸は……。 「活きづくりの鮑の肉」とは何の比喩でしょう? →答えは4Pへ |