他人を利用することに長け、人の痛みなどこれっぽっちも感じない。平気でウソをつき、罪悪感ゼロ…。脳科学からみた「サイコパス」

社会

2016/11/29

 平気でウソをつき、罪悪感ゼロ…。そんな“あの人”の脳の秘密を解き明かした『サイコパス』が、2016年11月18日(金)に発売された。

 外見はクールで魅力的、会話やプレゼンテーションも抜群に面白い。しかし、じつはトンでもないウソつき。不正や捏造が露見しても、まったく恥じることなく平然としている。時にはあたかも自分が被害者であるかのようにふるまう。また、残虐な殺人や善良な人を陥れる犯罪を冷静沈着に遂行する。他人を利用することに長け、人の痛みなどこれっぽっちも感じない…。昨今、こうした“サイコパス”が世間を騒がせている。

 もともとサイコパスとは、連続殺人鬼などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念だ。しかし、精神医学ではいまだ明確なカテゴリーに分類されておらず、誤ったイメージやぼんやりとした印象が流布していた。ところが近年、脳科学の劇的な進歩により、サイコパスの正体が徐々に明らかになってきている。

 最新の脳科学によると、脳内の器質のうち、他者に対する「共感性」や「痛み」を認識する部分の働きが、一般人とサイコパスとされる人々とでは大きく違うことがわかってきた。しかも、サイコパスとは必ずしも冷酷で残虐な犯罪者ばかりではないことも明らかになっている。大企業のCEO、政治家、弁護士、外科医など、大胆な決断をしなければならない職業の人に、サイコパシー傾向の高い人が多いという研究結果も出ているのだ。

 また、国や地域で多少の差はあるものの、およそ100人に1人の割合で存在することもわかっている。そればかりか、人類の進化と繁栄にサイコパスが重要な役割をはたしてきた可能性すら浮上しているのだ。

 同書は、最新の脳科学で私たちの脳に隠されたミステリーを解き明かし、脳と人類の進化に隠されたミステリーを解き明かす一冊だ。

中野信子
脳科学者。東日本国際大学特任教授、横浜市立大学客員教授。1975年生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』ほか。

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