東京女子×上京女子 vol.3 「東京男子と上京男子、魅力的なのはどっち?」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12

 東京生まれ東京育ちの東京女子・華子と地方から上京してきた上京女子・美紀。それぞれの視点から、東京で巻き起こる恋愛模様を切り取った山内マリコさんの小説『あのこは貴族』(集英社)。その発売を記念して、東京で働く独身アラサー女子を集め「東京女子×上京女子」の座談会を開催した。その様子を5回にわたってレポートするこの連載。今回のテーマはいよいよ「恋愛と結婚」についてだ。

▶ 第1回はこちら(東京女子×上京女子 vol.1「女の友情は物理的距離で壊れる!? 」
▶ 第2回はこちら(東京女子×上京女子 vol.2 「逃れられない“東京のカルマ”」

 東京という街は、一見多様で自由に思える。しかし、上京女子と東京女子の交友関係や住む場所への価値観を比較してみると、ずっと東京に住んでいるからこそ抱えている不自由さやしがらみが見えてきた。そんな「カルマ」を生み出す街、東京。そこに集まる男女の恋愛模様はどんなものなのだろうか。

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恋愛観は出身地を問わず十人十色

──いよいよ「恋愛と結婚」というテーマで話したいと思います。さっそくですが、みなさんの恋愛観をお伺いしたいです! 誰から発表しますか……!?

一同:……(お互い顔を見合わせる微妙な間)

東京Cさん(以下、東京C):えっと、じゃあ、一番若手なので私から。私は自由に恋愛したくて、私自身も彼氏もどんどん浮気していいと思っています。

──!? いきなりすごいのが飛び出しましたね!

東京C:私、中学から高校までずっと女子校だったんです。これまで孤島に住んでいたのが、大学に入っていきなり大陸につながった!って感じで。遊ばないともったいないなと。

上京Eさん(以下、上京E):うーん、人を傷付けないなら浮気もいいのかな……。たしかに、自分の彼氏はモテた方がうれしいですね。男の甲斐性というか。私自身は浮気願望はまったくないんですけど。

東京Aさん(以下、東京A):私は自分のことを一番に愛してほしい! でも自由でいたいので束縛はされたくないですね。

──恋愛観は出身地うんぬんより人それぞれって感じですね。ちょっと気になったんですけど、東京女子と上京女子ならぬ、東京男子と上京男子ってどっちが魅力的なんですかね?

東京B(以下、東京B):私、いままで付き合った人みんな東京男子だ……! 上京男子と付き合ったことない。

東京A:そういえば、私も!

──ええ! それじゃあ上京女子は……?

上京E:逆に、東京男子と付き合ったことない……!

──もしかして残りのおふたりも……?

上京Fさん(以下、上京F):言われてみると……ないですね!

上京Dさん(以下、上京D):私もです……!

──つまり、ここにいる参加者のなかで、違う環境で育った男性と付き合ったことがあるのはひとりだけってことですよね……! 

東京C:私は今、いや前の彼氏が北海道出身でした。

──今か前かはっきりしないってさすが大陸がひらけただけはありますね! 出身地が違う人と付き合うのってどんな感じなんですか?

東京C:彼の実家が酪農をやっていて、初めて会ったとき、ジャージー牛とホルスタイン牛の違いについてアツく語ってくれたんです。それがおもしろくて付き合いました。

東京A:その話を聞いて思い出したんですけど、ある上京男子とペットの話になったとき「鳥4,000羽飼ってる」って言われて衝撃を受けたの思い出しました。実家が養鶏場ってだけだったんですけど。

上京F:それは地方出身同士だったとしても驚きますね。

東京男子VS上京男子、付き合いたいのはどっち?

──東京女子は東京男子と、上京女子は上京男子と付き合うことが多いってすごく興味深いんですけど、理由は何なんでしょうね。やっぱり価値観が合うんですかね?

東京A:たとえば関西出身の人だと、笑いのツボが違う……みたいなことはあるかもしれないですね。

上京D:私、東京男子とはわざわざ付き合わなくてもいいかなって思うんですよね。

──お、その理由くわしく知りたいです。

上京D:なんていうか、遊び慣れてるっていうのかな。もちろん人にもよりますけど、東京男子の方が女の子の扱いがうまかったり、話がおもしろかったりする気がします。だから友だちとして付き合っていればいいのかなって。

──『あのこは貴族』の美紀も、東京男子の幸一郎と友だち以上恋人未満という関係を続けていますが、それができるのも東京男子ならではなのかもしれませんね。東京女子は上京男子に対してどういう気持ちを持っていますか?

東京A:関西出身の上京男子で仲の良い人がいるんですけど、悩みごとを相談したとき関西弁で返されるとグッときますね。彼が結婚したとき、自由だけどひとりの私は幸せって言えるのかなって弱音を吐いたら「どっちが不幸せとか不自由とかないやんか」と言ってくれて。めちゃくちゃ心にささりました。

東京B:わかる! 上京男子の方言、とくに関西弁はズルい!

──同じセリフでも、標準語か方言かで受ける印象がまったく変わりますよね。逆に上京女子は、東京男子に「方言かわいい!」とか言われないんですか?

上京F:たまにポロッと出たときに言われることがありますね。やっぱり、悪い気はしません!

上京D:私は静岡なので、そもそもかわいい方言じゃないんですよね。「方言がかわいい」っていうのは、九州とか関西とか出身の女子だけな気がする……!

東京A:福岡と京都、とくにズルい!

一同:わかる!

 筆者も含め参加者のほとんどが、東京女子は東京男子、上京女子は上京男子と、同じような境遇の相手としか付き合ったことがないことが発覚した今回の座談会。東京全体で統計をとったとき、どんな結果が出るのか興味深いのかもしれない。

 次回は、東京女子と上京女子それぞれの結婚観について話を展開していく。

取材・文=近藤世菜

『あのこは貴族』(山内マリコ/集英社

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『あのこは貴族』(山内マリコ/集英社)

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