ダ・ヴィンチニュース「アニメ部」

キリトとアスナの純愛、ド直球がみどころ「劇場版 SAO」【アニメ映画が面白い!第6回】

■ VRからAR、そしてAI 川原礫が捉える時代性

 2月18日、「ソードアート・オンライン」の新たな世界が世に届けられる。原作者・川原礫が自ら書き下ろした完全新作ストーリーの『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が全国公開となる。シリーズ初の劇場長編となるが、日本だけでなく、海外でも人気が高い作品だけに、まさに世界待望だ。

 見どころのひとつは、新たに登場するAR(拡張現実)を利用した多人数同時参加型のオンラインRPGロール・プレイング・ゲーム(MMORPG)「オーディナル・スケール」だ。
 「ソードアート・オンライン」や「アルヴヘイム・オンライン」といったこれまで作品中に登場したゲームは、同じMMORPGでもVR(バーチャル・リアリティ)を舞台とする。VRではオンラインを通じて異なる世界を体験するのに対し、AR MMORPG現実空間と非現実をつなげ仮想体験を実現する。
 そこで本作「オーディナル・スケール」の舞台は、秋葉原をはじめとする都内の人気スポットになる。見慣れた空間が次々に戦いの場に変わり、そこで主人公・キリトやアスナたちが活躍する。日常とゲームがより密接に絡み合う世界観。様は、それは観客の日常と映画もより密につなげる。「オーディナル・スケール」が生み出す「ソードアート・オンライン」の新たな魅力だ。

 これらは川原礫の時代に対する鋭い視点から生まれている。2009年にスタートした「ソードアート・オンライン」は、もともと現在のVRゲームブームを先取りしていた。時代がようやく川原に追いつくと、今度はARに目を向ける。エンタテイメントの世界ではARの可能性が再び、着目されていることを念頭に置いているのかもしれない。
さらにAI(人工知能)も本作の重要なパーツだ。こちらも現在、注目される技術だ。スタートから8年。作品の世界観が全く色褪せないのは、シリーズが時代と共に進化を続けているからである。

■ キリトとアスナの揺らぎない絆

 一方、変わらないものもある。シンプルで力強いストーリー。これが今回の映画のもうひとつの見どころになる、キリトとアスナの絆だ。
本作では、ふたりは絆を断ち切ろうとする大きな危機に直面する。そんな危機に対して、もちろんキリトは敢然と立ち向かう。真っ直ぐで揺らぐことがない。そして、キリトを信じ、そして自らも戦うアスナ。観るもの全てを共感させるキャラクターの魅力だ。

 ファンタジーやSF要素を用いた小説やコミックは、いまかなりの数が存在する。それだけに作品間の競争も激しい。作品がよりファンの印象に残るよう、いままでになかったような奇抜な設定、世界観、ひったストーリーが展開することも少なくない。
 しかし、「ソードアート・オンライン」の物語は、驚くほどストレートだ。キリトとアスナの二人の関係は古典的な純愛と言ってもいいだろう。互いに信じて助け合い、決して裏切ることがない。だからこそファンは、二人に共感し、その未来を応援したくなる。
そこにやり尽くされた感を持たせないが、作り手の力量である。むしろ、「ソードアート・オンライン」がオリジナルと思わせる。川原の確固たるキャラクターづくり、伊藤監督のぶれない演出がそれを可能にしている。真っ直ぐであることこそが、「ソードアート・オンライン」を他の多くの作品から際立たせ、ファンの大きな支持を受ける理由なのだ。

 『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』は、変わりゆくものと変わらせてはいけないもの、そのふたつを巧みに盛り込むことで作品の世界をますます強固にしていく。

劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-

公開日:2017年2月18日(土)全国ロードショー
配給:アニプレックス
劇場版公式サイト:http://sao-movie.net/

<数土直志>
ジャーナリスト。アニメーション関する取材・執筆、アニメーションビジネスの調査・研究をする。「デジタルコンテンツ白書」、「アニメ産業レポート」執筆など。2002年に情報サイト「アニメ!アニメ!」、その後「アニメ!アニメ!ビズ」を立ち上げ編集長を務める。2012年に運営サイトを(株)イードに譲渡。

(C)2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project



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