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女性たちは「下半身ビジネス」の渦中へ――セックス産業の舞台裏

『世界の[下半身]経済がわかる本―データで読み解くセックス産業の舞台裏』(方丈社)

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺は、性産業にそのまま当てはまる言葉である。男が風俗に行って女性に貢げば、その金はブランドのバッグやら服やらに還元され、結果的には百貨店が儲かる。ちなみにナイトワーカーの女性がホストに貢いで、その金が高級時計に還元されて、やっぱり百貨店が儲かるパターンも存在する。

 この様な「下半身ビジネス」というビジネスモデルは、日本だけにとどまらず世界各国の繁華街に存在している。そして「下半身ビジネス」による経済のまわり方をわかりやすく紹介しているのが、門倉貴史著の『世界の[下半身]経済がわかる本―データで読み解くセックス産業の舞台裏』(方丈社)である。開発途上国に横行している「セックスツーリズム」や日本のアダルトコンテンツビジネスの戦略、日本のセックス産業の最新事情……本書を読めば「下半身ビジネス」の現在が、データを通じて鮮やかに見えてくるのだ。

 さて、本書でさまざまな「下半身ビジネス」が語られる中、私がもっと心惹かれた章が、「下半身経済と『ウーマノミクス』」である。「ウーマノミクス」は、「ウーマン」と「エコノミクス」を合わせた造語で、女性のパワーで日本経済を活発にしようという戦略だそうだ。「下半身ビジネス」においても、どうやらこれは有効のようだ。現代では草食系やら絶食系やらが溢れかえっている若い男性たちより、むしろ女性の方が下半身経済をまわしていると言っても過言でないかもしれない。

 最近、女性たちの中で密かに官能小説が流行っているらしい。電子書籍の普及により、爆発的に女性に支持される傑作も生まれているそうだ。さらに「レンタル彼氏」との疑似恋愛にハマる主婦も増えているという。利用料金が1回でトータル7万~10万円になることも珍しくないらしいが、リピート率は5割にも上るとのこと。40代のマダムたちの間では「性感マッサージ」ブームも巻き起こっているとまで書かれていた。ネットやSNSによって、女性向けの「下半身ビジネス」は過去に例を見ないほど盛り上がりを見せている。

 また、性産業に足を踏み入れるハードルの低さも顕著になっているようだ。本書の中では、体の一部分だけを撮影させるパーツモデルや、セクシーな声を売るアダルトボイス販売が、女性が働く側にまわる「下半身ビジネス」として紹介されていた。双方とも「気軽にできる」と説明されているが、それは何故か? ずばり「周囲にバレづらい」からではないかと思う。逆に言えば、バレさえしなければ、女性たちはどんな「下半身ビジネス」にも抵抗なく足を踏み入れてしまえる時代になったのではなかろうか。

「ウーマノミクス」の台頭により、日本の女性たちは積極的に「下半身ビジネス」の渦中へと身を委ね始めた。それは経済の発展と同時に、日本の女性たちの新たな性意識の目覚めの一歩に他ならないのではないかと深く感じている。

文=もちづき千代子

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