『こち亀』『キン肉マン』『聖闘士星矢』『北斗の拳』…名作たちが勢ぞろい! 「週刊少年ジャンプ展」の生原画が尊すぎて号泣必至

マンガ

更新日:2018/2/9

 六本木ヒルズ森タワー52階の森アーツセンターギャラリーで、2017年10月15日(日)まで開催中の「週刊少年ジャンプ展VOL.1 創刊~1980年代、伝説のはじまり」。2018年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)が創刊50周年を迎えることを機に、全3回にわたって行われる企画展の第1弾である。


 単刀直入にこのイベント、控えめに言っても最高だ。夢中になってジャンプを読み漁った30~40代なら、会場に所狭しと並べられた原画たちを前にしたとたん、童心に返って食い入るように展示を見ているに違いない。

 とはいえ、色々な事情もあっていまだ来場を思いとどまっている方や、いまいちピンとこない方もいるだろう。そんな迷えるアナタの背中を押すべく、「週刊少年ジャンプ展」でぜひチェックしてほしいポイントをざっくりと解説。すでに現地で感動を味わった方も、もう一度ここで思い出を追体験してほしい。

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まずはシアター映像を観て気分を上昇!

「週刊少年ジャンプ展」の会場は、大きく5つのゾーンに分かれている。エントランスを抜けるとまず現れるのが【シアターウェイティングゾーン】。ここでは来場者を出迎えるように、大スクリーンでシアター映像が流れる。映像は紹介できないが、創刊から80年代までのヒット作品が次々と映し出されるオリジナルムービーは胸が熱くなる内容だ。

ジャンプを代表する9作家11作品が登場!

 映像を楽しんだ後は、いよいよ待ちに待った展示へ! 【作品体感ゾーン】では「降臨!!ジャンプ超英雄譚!!」と題し、創刊の黎明期から急成長を遂げた80年代まで、週刊少年ジャンプを大ヒットへと導いてきたマンガたちを紹介。ジャンプ黄金伝説のはじまりを告げた9人のマンガ家による11作品を、作品の世界観に合わせた多彩なアプローチで展開している。

■永井豪『ハレンチ学園』、本宮ひろ志『男一匹ガキ大将』

 永井豪の『ハレンチ学園』と本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』は、ともにジャンプが創刊して間もない1968年に連載をはじめ、黎明期を支えた代表的マンガと言えるだろう。

(c)2017 Go Nagai / Dynamic Production

(c)本宮ひろ志/集英社

 どちらも当時の週刊少年ジャンプの表紙を中心に、コマや原画が多数展示されている。近年、マンガ誌の性表現について色々と物議を醸しているが、『ハレンチ学園』などのギャグや過激な表現は、今改めて読んでみると新鮮に映るかもしれない。

■北条司『シティーハンター』『キャッツ・アイ』

 ここからは80年代のジャンプ急成長をけん引した人気作家たちが次々とお目見えする。まず1人目は『キャッツ・アイ』『シティーハンター』と立て続けにヒットを生み出した北条司だ。

(c)北条司/NSP 1985

 新宿駅東口にかつてあったという、『シティーハンター』で一躍有名になった掲示板をイメージして作られた展示物のほか、上空にはヒロインの香が振り回していた「100tハンマー」が北条先生の直筆メッセージ付きで披露されている。

(c)北条司/NSP 1985

 また、『キャッツ・アイ』『シティーハンター』で魅了したヒロインたちのイラストも見ごたえ十分だ。

(c)北条司/NSP 1985

■高橋陽一『キャプテン翼』

 高橋陽一が81年より連載をはじめた『キャプテン翼』は、当時まだJリーグ発足前だった日本のみならず、今なお世界中のサッカー選手にまで影響を与え続けている作品。

(c)高橋陽一/集英社

『キャプテン翼』と言えば、大胆に割ったコマでダイナミックに描写される必殺シュートの数々が見どころのひとつ。主人公・大空翼が放つドライブシュートや、立花兄弟のスカイラブハリケーンなど、少年時代に誰もが一度は挑戦した(?)であろうシュートシーンを生原画で楽しむことができる。

(c)高橋陽一/集英社

(c)高橋陽一/集英社

■車田正美『聖闘士星矢』

 ギリシャ神話をモチーフに、「聖闘士(セイント)」や「小宇宙(コスモ)」など、独特なネーミングセンスとキャラクターたちの熱いバトルで、男の子だけでなく女の子にも人気を博した車田正美の代表作『聖闘士星矢』。

(c)車田正美/集英社

 こちらのコーナーの目玉は、やっぱり原作ファンを虜にした聖衣(クロス)を使った展示。「クロスオーバービジョンズ~Cross Over Visions~」と名付けられた映像と、主人公の星矢たちがまとう「青銅聖衣(ブロンズクロス)」のレリーフ、そしてイラストが三位一体となって幻想的な世界観を生み出している。

 こちらも撮影NGのオリジナル演出なので、ぜひ会場で楽しんでほしい。

■ゆでたまご『キン肉マン』

 先日の記者会見で、色々なぶっちゃけトークを披露し会場を賑わせていたゆでたまご先生の『キン肉マン』も、今回の企画展で注目のコーナーのひとつ。

(c)ゆでたまご

 まずチェックしておきたいのが、キン肉マンの巨大マスク。一見するとキン肉マンの顔のイラストだが、目を凝らしてみると……。

(c)ゆでたまご

(c)ゆでたまご

 なんと懐かしのキンケシがぎっしり! 実はこの日のために80年代当時の金型から成型した大量のキンケシ(3万2476個)が詰まっているとか。よく見ると燕尾姿のミートくんやナチグロンなどもいて、ほっこりしてしまう。

(c)ゆでたまご

 また、天井にも届きそうなマッスル・ドッキングの巨大立像は、「夢の超人タッグ編」でキン肉マンとキン肉マングレート(テリーマン)が繰り出した名シーンを、ジャンプの2色刷カラー風で再現した貴重な展示物となっている。

(c)ゆでたまご

(c)ゆでたまご

 他にも原画やグッズなども充実。子供のころに一緒に遊んだ仲間と訪れれば、きっと話に花が咲くこと間違いなしだ。

■原作:武論尊、作画:原哲夫『北斗の拳』

「あべし!!」や「ひでぶっ!!」など、壁一面に描かれた雑魚キャラたちの断末魔も印象的な『北斗の拳』コーナーでは、映像×巨大像による「ラオウの最期」の名シーンを再現した投影展示に注目。

(c)武論尊・原哲夫/NSP 1983

(c)武論尊・原哲夫/NSP 1983

 また、原先生による緻密な生原画の数々もぜひ見てほしいところ。他のマンガ家たちの原画もそうだが、鉛筆で描かれた下描きの跡や、ホワイト(修正液)を使った表現など、アナログの時代ならではの試行錯誤の痕跡とテクニックがハッキリと見て取れるはずだ。

(c)武論尊・原哲夫/NSP 1983

■秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

 1976年の連載開始以来、休むことなく40年にわたってジャンプの顔として親しまれてきた秋本先生の『こち亀』は、ギネス級長寿作品であることをうかがい知れる大規模な展示となっている。

(c)秋本治・アトリエびーだま/集英社

 秋本先生ご自身も「スゴロクみたいな人生」と語る、遊びの達人・両さんが巻き起こしたドタバタ騒動などをまとめた『こち亀』スゴロクは、中川や麗子といったおなじみのキャラクターたちの初登場などを交えて楽しく演出されている。

(c)秋本治・アトリエびーだま/集英社

(c)秋本治・アトリエびーだま/集英社

■鳥山明『Dr.スランプ』『DRAGON BALL』

【作品体感ゾーン】を締めくくるのは『Dr.スランプ』と『DRAGON BALL』。マンガ界に衝撃を与えた独創的な画風による鳥山ワールドが存分に楽しめるコーナーとなっている。

(c)バードスタジオ/集英社

(c)バードスタジオ/集英社

 両作品ともに生原画がたっぷりと展示。緻密でポップなイラストの数々はため息が出そうなほどのクオリティで、時間を忘れてじっくりと見たくなる混雑必至のエリアだろう。

(c)バードスタジオ/集英社

(c)バードスタジオ/集英社

 孫悟空の必殺技「かめはめ波」による演出の先にある「『天下一武道会』超シアター」では、天下一武道会で繰り広げた数々の名勝負を映像で紹介。また、『Dr.スランプ』『DRAGON BALL』コーナーにはグッズも幅広くそろっているので、子供のころに遊んだゲームやおもちゃに思いを馳せる楽しみも。

(c)バードスタジオ/集英社

(c)バードスタジオ/集英社

(c)バードスタジオ/集英社

ジャンプの歴史をひもとく原画たちが集結!

 創刊~80年代を代表するジャンプ作品の展示コーナーに続いては、もうひとつの目玉となる「【原画集結ゾーン】神話共鳴!!ジャンプ熱風列伝!!」へ。89年までに発行された1043冊におよぶ週刊少年ジャンプの表紙が並ぶスペースでは、全52作品、参考展示3作品が解説文付きで紹介されている。



 70年代からは『アストロ球団』や『すすめ‼パイレーツ』、80年代からは『ジョジョの奇妙な冒険』『魁‼男塾』『よろしくメカドック』『ジャングルの王者ターちゃん』『ろくでなしBLUES』『BASTARD‼ -暗黒の破壊神-』など、夢中になって読んだジャンプ作品が一堂に集結! あまりの豪華ラインナップに目移りしてしまいそうだ。

(c)荒木飛呂彦&UCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

(c)次原隆二/NSP 1982 版権許諾証 GM-807社

(c)宮下あきら/集英社

 ちなみに【原画集結ゾーン】では、ジャンプの隠れたお楽しみもしっかりと特集。ファミコン紹介記事「ファミコン神拳」や読者投稿コーナー「ジャンプ放送局」、斬新な切り口だった「愛読者賞」といった企画ページも取り上げられている。




展示を堪能した後は、お土産も要チェック!

 イベント順路のラストには、お土産コーナーも待っている。これがまたとんでもないボリュームで、200種類を超えるオリジナルグッズを取り揃えている。全部買い占めたくなるほど多種多彩なグッズが並んでいるので、この日の思い出を忘れないために、ぜひ入手しておこう。

(c)車田正美/集英社、(c)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社、(c)武論尊・原哲夫/NSP 1983

(c)高橋陽一/集英社、(c)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社、(c)北条司/NSP 1985

(c)ゆでたまご

(c)池沢さとし、(c)吉沢やすみ/オフィス安井、(c)BUICHI TERASAWA/A-GIRL RIGHTS、(c)萩原一至/集英社

イベント第1弾は2017年10月15日(日)まで開催中

 ファンならヨダレが出るほどの資料的価値を持つ原画の数々が、たっぷりと楽しめる「週刊少年ジャンプ展」。さらに、2018年3月~6月には「VOL.2 1990年代、発行部数653万部の衝撃」、2018年7月~9月には「VOL.3 2000年代~、進化する最強雑誌の現在」が開催予定。週刊少年ジャンプ50周年を祝うイベントは来年にかけて今後も続々と行われる。

 正直なところ1時間ほどあった内覧会では、取材に追われて展示を楽しむ余裕がなかった。これから訪問を予定している方々には、ぜひ丸一日使って心ゆくまで鑑賞することをおすすめしたい。

取材・文=小松良介
写真=内海裕之

【開催概要】
■一般公開会期:2017年7月18日(火)~10月15日(日)
■会期中無休 ※平日 10:00~20:00(最終入館19:30)、土日祝日及び8月14日(月)~18日(金) 9:00~21:00(最終入館20:30)
■会場:森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52階)
「週刊少年ジャンプ展」公式サイト http://shonenjump-ten.com/