この夏最大の注目作! 『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』絶賛公開中! 見所満載の映画をどの角度から観るべきか?

エンタメ

2017/9/1

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 』(大根仁:著/岩井俊二:原著)

 クオリティの高い映像に定評のあるアニメーションスタジオ「シャフト」が制作し、声の出演に広瀬すず、菅田将暉、松たか子ら豪華俳優陣、さらに宮野真守や花澤香菜などの実力派声優が集結した話題作『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が8月18日に公開された。圧倒的な映像美と、中学生たちの青春を正面から描いたストーリーは好評で、すでに鑑賞済みという人も多いだろう。もちろん未見という人でも、現在公開中なので十分間に合うが、その前に映画の見所などを鑑賞者の感想を交えて紹介していきたいと思うので、参考にしていただければ幸いだ。

 まず押さえておきたいのは、この作品がドラマを原作としていること。1993年にフジテレビで放送されたオムニバスドラマ『if もしも』で、岩井俊二監督が脚本と演出を手がけたものである。評価の高い作品でファンも多く、「岩井俊二監督の原作ドラマが大好きなので、今回のアニメ版を期待半分不安半分で鑑賞しましたが、不安は杞憂でした。原作を遥かに超えるビジュアルで作品世界を広げてくれたことに感謝です」など、映画の完成度に満足のようであった。

 ストーリーの概要は、地方の小さな町で行なわれる花火大会の日、中学1年生の島田典道がクラスメイトの美少女・及川なずなを巡って、不思議な体験をする夏休みの1日を描いたラブストーリー。なずなに想いを寄せる典道は、親の再婚で引っ越しが決まったなずながムリヤリ連れていかれるシーンを目の当たりにし、無力感に苛まれ「あの時に戻れたら……」と願うが、その瞬間、不思議な玉の力によって時間が巻き戻るという展開だ。いわゆる「タイムリープ」ものだが中学生の淡い恋愛模様が美しく描かれており、「ひと夏の不思議な経験を通してほんの少し大人になるというジュブナイルフィクションとして夏にピッタリだと思う」など共感の声が多かった。

 ストーリーのほか、感想で評価が高かったのはやはり映像面。「とにかく絵がものすごく綺麗でした。花火、電車、海、ホースから流れる水…。今のアニメーション映画はここまで清廉なんだ、と驚いています」「映像がとても綺麗でした。プールや打ち上げ花火は宝石のようにキラキラしていて見とれてしまいました」など大絶賛が並び、観る者すべてを魅了していたことを物語っていた。

 本作品は中学生の青春模様を描いているため、「アニメーションの美しさは、今や実写よりも人の心に強い印象を残すのかもしれない。坂道の町、弾ける水の粒、形を変える花火たち。私たちの観たかった『あの日』の夏がある。狭い世界で夏の一日に起こる事件はそこまでスケールが大きなものではないが、大人と子どもの狭間で泳いでいる、少年と少女の強い想いは美しい映像と相俟って私たちの心を打つ。峠を過ぎた夏の終わりに、大切な人と見に行きたい作品だ」など、ある種の「ノスタルジィ」を感じる意見も。

 また原作小説を読んでから映画を鑑賞した人も多かったようで「映像化されることで文庫版よりも洗練されたように思う。文庫版を読んだ者にとっては文庫版と映画版との違いを探すという愉しみ方もあるようだ」「この作品はノベライズ、アニメーション映画、そして原作のドラマを観ることで完結されるのでは、という楽しみを残してくれる作品だと感じた」と、メディアの違いを楽しむ向きもあるようだ。

 さまざまに見所はあるが、やはり最終的にはそれぞれの感性に委ねるべきであろう。この夏最後の「打ち上げ花火」をどの角度から見るか、決めるのは観客自身なのである。

文=木谷誠