今、ネットで人気の動画制作者4人に緊急取材! 彼らの創作の原点に迫る!

ピックアップ

更新日:2013/8/13

<カギ>
東方二次創作の代表格『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』PV制作者

東方projectを御存知だろうか?
ZUN氏が同人にて制作したシューティングゲームで、魅力あるキャラクターと不思議な世界観で多くの人を惹きつけている作品だ。また、ファンによる二次創作(ゲームのキャラや世界観をつかってマンガや小説などを出すこと)が盛んで、ネットにも数多くの二次創作された作品が投稿されている。今回、ブーム初期から東方の二次創作を行い、「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」等で空前のヒットを起こしたPV制作者のカギ氏にお話をうかがった。カギさんの「何度でも読み返す」な本も見逃せない!

マイリストブログTwitter

advertisement




代表作『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』

 

――夢は、新宿アルタのディスプレイに自分の作った映像を流すこと

◆クリエイターになったきっかけ、動画制作するようになったきっかけは?
高校生くらいの頃、我が家でインターネットができるようになった時に2ちゃんねるの「Flash・動画板」に流れ着き、そこでいろんな方のFlashアニメーション作品を見るうちに、「自分も作ってみたい!」と思い、大学進学と同時にFlash MXを購入しました。

◆創作活動の中で、心がけていること、大切にしていることは?
「音楽と自分自身の波長を合わせること」
私の場合は特に音楽に合わせたアニメーションを作ることが多いので、自分で選んだ曲ならもちろん、お願いされて作るようなものでも、とにかく音楽を四六時中聴きこんで、曲の良さを引き出せるようなイメージを固められるようにしています。

◆尊敬しているクリエイター、影響を受けたクリエイターは?
上述の「Flash・動画板」の中で、スキマ産業さんからは特に強い影響を受けていると思います。
「num1000」という作品が非常に有名で、まさに自分が制作を始めるきっかけとなった方です。
それと、当然のことながら上海アリス幻樂団のZUNさん。一創作者としても、自分のフィールドを広げてくれた方という意味でも、今自分が最も尊敬しているクリエイターです。

◆今、夢中になっているもの、気になっているものは?
全く創作画方面とは関係ないですが、暇があれば常に触っているほどのスマートフォン中毒者です。他にも新しい・珍しいガジェットや未来技術が大好きで、それが将来どんな世の中を作っていくのかを想像するのが好きです。ああいう新しいガジェットのコンセプトデザインや紹介映像なんかをいつかは作ってみたいですね。

◆これからの夢や目標は?
夢は、新宿アルタのディスプレイに自分の作った映像を流すことです。目標としては、アルタに流すだけのクオリティのものを作るために、一度期限を設けずに腰を据えてオリジナルの映像を作ることに挑戦することです。

◆カギさんと言えば、東方の二次創作を中心としたPVで注目されていますが、カギさんの考える東方というコンテンツの魅力は何ですか?また、東方の映像制作をする上で特にこだわっている点などを教えて下さい。
失礼な表現になるかもしれませんが、ある種の「ゆるさ」が魅力だと思います。二次創作は基本的に認められているし、キャラクターの設定や性格・ストーリーなども、作品ひとつを見れば筋が通っているように見えても、全体的にはなんだかちぐはぐだったり曖昧に見えたりで、想像できる範囲がすごく広いことが、制作者の創作意欲をかきたてるのではないかと思います。あとはなんといってもゲームが面白い。敵の弾幕も直球勝負からある種のパズルゲーム的なものまで様々で、どこからこんなにパターンが出てくるのかといつも感心しながら被弾しています。特に「東方風神録」のラストボスの最終攻撃「マウンテン・オブ・フェイス(風神様の神徳)」は見た目も綺麗だし、物凄く難しいけど超絶楽しいしで、自分の中では頂点に位置する弾幕です。最近制作中でこだわっている点としては、キャラクターのイメージを原作から脱線させすぎず、その上で感情豊かに表現することに重点を置いています。ゲーム中だと割とみんないい加減な性格ですが、ああ見えても設定的に壮絶な過去や深い悲しみを背負っているキャラクターが非常に多いので、そこに触れる場合はゲーム中で見せないような激昂や苦悶の表情をさせたり、大泣きさせてみたりしています。

 

「何度でも読み返す」本 ベスト5

『スヌーピーたちのやさしい関係』シリーズ チャールズ・M.シュルツ(著)、谷川 俊太郎 (訳)

子供向けマンガなイメージのあるスヌーピーですが、ああ見えて実は中身は結構哲学的です。子どもなりに(犬なりに)生きることは何かを考えている姿は大人の自分から見てもはっとさせられるものがあったり。たまに読み返してほのぼのする一方生きるということに思いを巡らせたりします。

『ファイアーエムブレム 紋章の謎』 篠崎砂美

FC時代の第一作からプレイするエムブレマーですが、篠崎さんの書くエムブレムシリーズは本来ゲーム中に出てこないエクストラキャラクターや他作品とのリンクが各所に見られたりして、また独自の解釈なども入れられていることがあり、ファン心をくすぐられます。中でも自分の中では紋章の謎が思い出深いのでこちらを。

『アルフォンス・ミュシャ』 (画集)

ミュシャの描く美しい曲線や柔らかい色使いは、デザイナー・イラストレーターであれば誰もが憧れるはず。単純に見て「美しい・・・」とその世界に浸ることもできるし、デザインのネタに困ったことがあったら構図や装飾などで参考となる資料にもなります。

『+81(PLUS EIGHTY ONE)』 ディーディーウェーブ

たまに買う、主に海外のデザインファームやクリエイターの活動に焦点を当てた季刊の雑誌。紹介されているクリエイターの作品も素晴らしいのですが、雑誌のレイアウト自体も独創的で、形に囚われないイメージが好きです。デザインの参考やブレインストーミングなどに。

『ANIME 95.2』 春原ロビンソン

宣伝です。友人である春原ロビンソンさんの本のロゴの制作を担当しました。昔春原さんがいたというアニメ業界の悲喜こもごもがゆるい感じのマンガで紹介されている本です。(正直ドン引きしましたがそれでも)おもしろいので、ぜひ一読を。