小説家・原田マハ完全プロデュース! 京都・清水寺で8日間限定の展覧会開催決定

文芸・カルチャー

公開日:2019/8/25

 9月1日(日)~8日(日)の8日間限定で開かれる「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」の記者会見が8月9日都内で行われた。

 本展の総合ディレクターを務めるのは、キュレーターとしてのキャリアをもつ小説家の原田マハさん。会場は美術館ではなく世界遺産の京都・清水寺、開場は朝7時、書き下ろし小説『20CONTACTS 消えない星々との短い接触』(幻冬舎)と連動、と異例づくしの展覧会だ。

 きっかけは、自身も所属するICOM(アイコム/国際博物館会議)の世界大会が同時期に京都で開催されることだった。「ICOMのスローガン『戦争で分断された世界をミュージアムで再びつなごう』に感銘を受け、彼らをサポートしたいという気持ちで今回の企画展を立ち上げました」と意気込みを見せる。

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 展示の特徴のひとつに、美術品、マンガ、映画、文学という4つのジャンルにまたがっていることがあげられる。「日本人がどうやって世界のアートを受容してきたのか、『コンタクト』をテーマにキュレーションしました。中心となったのは雑誌『白樺』(近代日本最大の文芸・美術同人誌)とゴッホ。森村泰昌の映像作品と一緒に、宮沢賢治『雨ニモマケズ』手帳を展示したり、手塚治虫の『ブッダ』と竹宮惠子『風と木の詩』を並べたり。作品同士がどうつながっているか、ぜひ読み解いていただきたいです」と語る。

 会場には作品解説がついていない。「私が展覧会に行くとき、作品そのものを通じて、アートワークの向こうにいるアーティストと会話をしていることに気がついたんです。まずは自分の心で作品を見てほしい。キュレーター時代は説明を加えて、狭く深く展示を作っていましたが、作家になって初めてキュレーションをした今回は、逆に情報を奪い、作品のつながりを広げていく形になりました」。ひとつの筋を通しながら展開させていくのは小説の作法に似ているという。

 代わりに原田マハさんによる全作品の解説と、書き下ろし小説の一部を掲載したタブロイド紙が配られる。「小説は、本展に出品される作家を含む20名のアーティストにインタビューして掌編を書け、という挑戦状がなぜか自分から届くシーンではじまる、ドキュメンタリー仕立てになっています。彼らの創作の秘密に迫っているので、これを読んで展覧会に行けば物語が完結します」

 さらに会期中は清水寺の大講堂で、竹中直人さん(俳優)、山田洋次さん(映画監督)、桂南光さん(噺家)、御立尚資さん(ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー)をそれぞれゲストに迎えたトークイベントも開催される。

「朝から開場しているので、出勤前に立ち寄ってもらうこともできます。すべての企画展は一期一会ですけど、今回は特に一生に一度のつもりで作っています。展覧会に行ったけれどわからなかった、という感想をよく聞きますが、理解ではなく感じることが一番大切。自分だけの物語を得て帰ってもらえたら最高です」

 アートを題材とした傑作小説を生み出しつづける原田マハさんの視点を、残暑の京都で味わおう。

「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」公式サイト