「読み終わったら『ありがとう』という気持ちでいっぱいになった」 口コミで人気が広がり続ける小説『マカン・マラン』4部作

文芸・カルチャー

公開日:2020/6/6

『マカン・マラン – 二十三時の夜食カフェ』(古内一絵/中央公論新社)

 ある町の路地裏で、夜の間だけ開いている夜食カフェ「マカン・マラン」。そこにはさまざまな悩みを抱えた人々が、導かれたかのように集まってくるという──。一風変わった“心の交流”を描いた『マカン・マラン』シリーズが、ネット上で大きな注目を集めているようだ。

 同シリーズは、2011年にデビューした作家・古内一絵による小説作品。2015年11月に1巻が発表されると口コミで人気が広がり、4部作へと変更されることに。すでに物語は完結しているものの、現在でも書店を中心としてヒットを続け、発行部数はシリーズ累計10万部を突破している。

 作中で描かれるのは、「マカン・マラン」に訪れる客と謎めいた店長・シャールとのやり取り。シャールは180センチ を超える長身でありながら、ド派手なメイクや衣装を好む“ドラァグクイーン”。人が求めているものを見抜く能力に長けており、悩める客がやってくるたびに心のこもった夜食を振る舞っていく。

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 客として登場するのは、“ぼっち”に怯える女子高生や子どもの発育に悩む専業主婦、自分を不幸だと思い込むフリーターなど、どこか共感を覚えてしまう人物ばかり。同シリーズは多くの人に感銘を与えているようで、ファンからは「前向きな考え方ややさしい気持ちなど、たくさんの力をもらえた。このシリーズに出会えてよかった」「こんなカフェがあったら絶対行きたい! 凝り固まった心がほぐれていくような物語だった」「今の私に響くお話が多くて、シャールさんの言葉を大切にしたいと思った」と絶賛の声が相次いでいる。

『さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい』(古内一絵/中央公論新社)

 また人間ドラマだけでなく、それぞれのエピソードに「春野菜のキャセロール」や「蒸しケーキのトライフル」などの料理が登場するのも大きな魅力。マクロビオティックの知識にもとづいた料理の描写に、ネット上では「おいしそうな食べ物、お茶、そして心にしみる言葉の数々。読み終わったら『ありがとう』という気持ちでいっぱいになった」「ここに集まる人はとても幸せそう。シャールの作る料理と魔法のお茶を飲みながら、この先も素敵な時間を過ごしてほしい」といった感想も上がっていた。

 対人関係に疲れたり、自分を見失ってしまいそうな時は、小説のページをめくって「マカン・マラン」を訪れてみてはいかがだろう?

【シリーズの全レビューはこちら】
・『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』
・『女王さまの夜食カフェ マカン・マランふたたび』
・『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』
・『さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい』