福田麻由子「好きすぎて、何度も読み返しています」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、2月4日に公開された映画『恋愛奇譚集』で主人公と心を通わす謎の美少女・ユリ役を演じ福田麻由子さん。鋭い感性を持つ読書家の福田さんが、何度も読み返し、映画化して出演することまで夢見る異色の青春小説とは。
「私は人の感情に興味があって、だからこそ本谷有希子さんの諸作品のようにあらゆる感情をしっかり描いた小説は読んでいて気持ちがよくなるんです」
一番のお気に入りは芥川賞候補になった『あの子の考えることは変』。
「好きすぎて、もう何度も読み返しています。二人の登場人物、日田(にった)も巡谷(めぐりや)もすごくぶっ飛んでいるけれど、根本を突き詰めていくと、私の中には巡谷的なところも、日田的なところもある。たとえば、この人と一緒にいると巡谷目線で相手を見るけれど、あの人が相手だと日田目線になる、というように、二人の間をあっちに行ったりこっちに行ったりしている。そんな感じです」
怪しげな情報源から得たダイオキシンの与太話を信じ…