奈緒さんが選んだ1冊は?「ひとりが好きでいいのだと安堵した優しさのかたまりのような一冊」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、奈緒さん。 (取材・文=河村道子 写真=TOWA)
「題名がそのときの自分にすごく重なるところがあって」。この本を初めて手にしたのは、「お芝居をちゃんとやってみたい」と、たったひとりで上京した20歳の頃。
「当時、私はひとりが好きだったんです。けれどそれは声を大にして言いにくいことで。他の人といる時間が嫌なわけではなく、ただ“ひとりの時間がすごく好き”ということを、どういうふうに人に伝えたらいいのかわからなかった。でもこの本の題名を見たとき、まるで手紙をもらったような気持ちになったんです」 〈ひとりが好きなあなたへ。そんなあなたが私は好きです〉という一文からは、「あぁ、そういう人ってたくさんいるんだ。そしてそのことに銀色夏生さんは気付き、手紙を書いてくれたんだ」と、安堵にも似た気持ちに包まれたという。 「その一文から続いていく言葉は、今も淋しさや孤独を感じたとき、ふと取り出してみるお守りのような言葉。そして…