50歳からの人生が不安なあなたへ。今、女性が新しい時代を生ききるために必要な「覚悟」とは

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更新日:2022/7/1

女性の覚悟
女性の覚悟』(坂東眞理子/主婦の友社)

 人生100年時代を女性はどう生きるべきか――いきなりそう問われたら、あなたはどう答えるだろうか。若い世代はちょっとビビってしまいそうだが、アラフォーあるいはアラフィフ世代でも答えに窮するかもしれない。必要なのは自分の人生についての「覚悟」を持つこと――坂東眞理子さんの新刊『女性の覚悟』(主婦の友社)は、そう力強いメッセージを伝え、私たちの背中を押してくれる1冊だ。

 坂東眞理子さん(75)といえば『女性の品格』(PHP新書)を思い出す方も多いだろう。東大卒業後、総理府に入省し要職を歴任したのち昭和女子大学教授という(現在は同大学の学長を経て理事長・総長をつとめる)「働く女性」の大先輩であり、しかも行政官のキャリアを積みながら2児の母としての役割を両立したという「ワーキングマザー」の大先輩。そんな坂東さんが書いた女性たちへのメッセージは、累計300万部を超える大ベストセラーとなった。その『女性の品格』から約15年、今回坂東さんが唱えるのは「覚悟」というさらに強めの言葉となった。

 ちなみに坂東さんのデビュー作は、1978年に出版された『女性は挑戦する キャリア・ガールの生き方』(主婦の友社)。当時から一貫して女性のキャリアについてメッセージを伝え続けている坂東さんだが、出版から40年以上経った現在でも女性たちの置かれた立場は変わっていないと指摘する。女性差別は見えない形で残り、女性は相変わらず家庭や職場で、人の世話をする「女性らしさ」を期待され、女性自身もその価値観にとらわれている。その結果、女性自身が自分の可能性を押しつぶし、自信が持てずに経済的にも社会的にも対等にはなれていない――そんな状況を自分たち世代が変えられなかったことを詫びたいと言う坂東さんは、本書でその状況を総括し、「覚悟」という強い言葉であらためて女性たちに自分の生き方を見直そうと語りかけるのだ。

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 たとえば「能力がなくてもおしゃれできれいならば得をする」とか「少しおバカでもかわいいほうが男性から愛されて幸せになれる」とか思っている若い女性もいるかもしれない。もちろんきれいもかわいいも結構だが、これだけ女性の貧困が騒がれる中で、いまどきはそれだけでは生きていけないことは女性たちも薄々わかっているのではないだろうか。だからこそ女性たちは覚悟を決めて一歩踏み出さなければ何もはじまらない。「まだまだ女性に対する見えない差別がある中で、女性こそ新しい目標に挑戦する勇気を持つ、失敗してもそこから立ち上がる強さを持つ、成果が見えなくても忍耐強く続ける、という力を男性以上に必要とされています」と坂東さん。そして「あきらめないで、小さいことからできることから始めてみよう」とエールをおくるのだ。

 本書の興味深いところは、こうした思いを若い女性たちだけでなく50代以降の女性たちに向けても届けていることだろう。男女雇用機会均等法第一世代も50代後半となった今は、仕事を続けているかどうかにかかわらず多くの人に「お金・介護・健康」などさまざまな悩みが出てくる頃だ。しかも人生100年時代といわれる中で未来はまだまだ続く…そんな迷いの時期も、きちんと覚悟を持てば「自分の人生を生ききる」ことができると坂東さん。その言葉は力強く、勇気をもらう人も多いだろう。

 坂東さんの言う「覚悟」とは「人生をどう生きるのかは他人のせいではない、最終的には自分の責任と考えること」だ。確かにこの覚悟を持っていられれば、老いも若きも下手にじたばたせずに自分で判断し、自分の力でちゃんと生きていけるのかも。ではその覚悟をどう持つか――まずは本書で「覚悟ある大先輩」の言葉を受け止めることからはじめてみよう。

文=荒井理恵

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