マスコット(兄)の隠された真相とは!? 国家資格「神さま」取得を目指して奮闘する「ヒミコ」たちの物語

マンガ

公開日:2022/10/21

神さま学校の落ちこぼれ
神さま学校の落ちこぼれ』(日向夏:原作、赤瓦もどむ:まんが/白泉社)

 神通力が使える人間「ヒミコ」が、優れたヒミコに与えられる国家資格「神さま」を目指す学園生活を描いた人気作『神さま学校の落ちこぼれ』(日向夏:原作、赤瓦もどむ:まんが/白泉社)。本作品は、『薬屋のひとりごと』(しのとうこ:イラスト/主婦の友社)の著者・日向夏さんが原作を、『兄友』(白泉社)の著者・赤瓦もどむさんがまんがを手掛けていることでも注目度の高い作品だ。先日、そんな本作の3巻が発売された。

 この物語の主人公は、神社に双子の妹として生まれ育った主人公・陽美谷ナギ。ナギは神通力が使えない普通の女の子のはずだったが、ある事件をきっかけになぜか神さま・月読命(つくよみのみこと)に推薦され、日本一神さまを輩出している神さま学校「私立惟神(かんながら)學園」への編入資格を得てしまう。ここからナギの、神さまを目指す学園生活が始まっていく。

 ナギの家には、神さまとして絶大な支持を得ていた祖母・天宇受賣命(あめのうずめのみこと)、それからヒミコの能力を持った兄・たけるがいた。しかし5年前、2人は交通事故に遭ってしまう。結果祖母は亡くなり、兄は部屋に引きこもって顔すら見せなくなってしまった。兄とのやり取りは、兄が神通力で動かしている小さな熊のような狸のようなマスコットのマスコットを介してのみ。

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神さま学校の落ちこぼれ

神さま学校の落ちこぼれ

 ナギは入学を機に、この2人の代わりに実家の神社を立て直したいと考え始め、自分にできることを模索しながらクラスの仲間たちと成長していく――というのが2巻までの内容だ。

 2巻を読んだ時点では、「ここからナギの力が開花して、月読命と恋仲に発展するのかな?」なんて予想していたのだが。3巻では思いもしない展開が待ち受けていた。ある時、学園へついてきていたマスコット(兄)を鞄から落とし、クラスメイトの江道トータが拾ってしまう。トータは名門神社の息子で成績優秀なヒミコだ。彼は、この人形がただならぬものであると察知する。トータがマスコットを引きちぎると、中には祖母に習った呪い人形に似たものが。そしてさらに、マスコットはトータに襲い掛かってきて――。

神さま学校の落ちこぼれ

神さま学校の落ちこぼれ

 その後、月読命が助けに現れたことでマスコットは自爆。しかしこの事件がきっかけで、ナギは祖母が校長先生に託していた手紙を受け取り実家へ戻り、今まで知らなかった事実と向き合うこととなる。兄が操っていたマスコットは何だったのか、兄はいったい何者で、なぜマスコットを介してしか話さなかったのか、ぜひとも3巻を読んで直接確認してほしい。祖母がまだ生きていたころ、兄とどんな話をしていたのかを考えると、それだけで胸が熱くなってくる。

 神通力や呪いなど非日常的な展開が多い一方で、神通力が使えても、神さまの資格があっても、そこにいるのはそれぞれ感情を持った性格の違う人間なのだと感じさせられるシーンも多く、不思議なくらいに感情移入してしまうのも本作の魅力。みなどこかしら不完全で、だからこそ一人ひとりのことをもっと知りたいと思ってしまう。

 まだまだ謎の多い『神さま学校の落ちこぼれ』。これから5年前の事故の真相やとあるクラスメイトの家のこと、ナギが持つ力のことなど、どんどん核心に迫っていくことだろう。月読命とナギがどうなっていくのかも気になる。筆者も引き続き真相を、ナギたちの行く先を見守りたい。

文=月乃雫

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