これを読めば、あなたの料理の腕前が2ランクアップする!? 落合務シェフが伝える、料理の基本のキ。

食・料理

公開日:2022/10/28

「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ
「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』(落合務/講談社)

 個人的な話になりますが、私がこれまで買ったレシピ本の中で一番役に立ったと感じるのが、『「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』(落合務/講談社)です。本書によると料理の腕とは、経験と技術、そして知識=理屈によるものだそうですが、レシピだけではなくその“理屈”を教えてくれる一冊。食材の焼き方など、どんな料理にも使える基本知識が掲載されているので、掲載されているレシピだけでなく、あらゆる料理のおいしさが上がります。ここではその理屈の一部を紹介したいと思います。

イタリアンの基本、パスタとソースの極意

 パスタを作るときに一番大切なことは、まず先にソースを作ること。ソースは出来上がっても置いておくことができますが、パスタはそうはいきません。そしてパスタを茹でるとき次に大切なのは塩加減だと落合さんは語ります。うどんやそうめんなど、私たちがよく食べる他の麺にはすでに塩が含まれていますが、パスタには塩が含まれていません。だからパスタを茹でるときには多めの塩、例えばパスタ2人前160gで水を3ℓ沸かすとしたら、塩は45g必要です。理論を知ると、この「ちょっと多いのでは?」という塩の量を躊躇なく投入できそうです。最後に、ソースとあえて食べ始める時間を考えて、茹で時間は短めにすること。落合さんでも表示時間から30秒短く茹でているそうなので、30秒~1分ほど短めに茹でるのがおススメです。

 パスタのことを理解したら次はソースです。ソースの肝は、パスタとソースが絡みやすいようにソースを乳化させること。オイルパスタの場合は、パスタの茹で汁を入れるのがそれにあたります。コツはソースが常温になってから少しずつ、最終的には同量程度を加えること。茹で汁を入れたときにジュッと音がする方がなんだかおいしそうな気がしますが、せっかくの茹で汁が蒸発してしまったら意味がないからです。そしてどんな味付けでも、ソースにパスタを入れてから、バターやパルミジャーノ、ゴマなどの乳化を助けるものを加えます。ゴマが乳化を助けるとは意外ですが、本書で紹介されているゴマのアーリオオーリオはゴマと冷蔵庫の残り野菜で仕上がる一品でもあり、在宅ワークや休日のお昼にぴったり。ぜひ試してみてください。

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肉と魚は火入れが命!

 本書で紹介されている知識の中で、もっともどの料理でも使えるのが、食材への火入れの仕方。まずグリルの場合重要なのが、火の通りやすさを均等にするための下処理をすることです。厚いところを包丁で開いたり、肉叩きで叩いたり。事前にこの作業をすることで、食材のすべての場所を一番いい状態で食べることができます。そして片面に焼き色を付けて蓋をし、全体が白っぽくなるまで火を通したら、裏返した後は余熱のみで火を通すこと。その際魚や鶏肉など皮がついているものの場合は、皮をパリッと焼くために皮目から焼き始め、皮が縮まるのを防ぐこと。プロはずっと手で押さえるそうですが、あまりにも熱いので家庭の場合はボウルなどを使うのがおすすめです。

 また魚介類や鶏むね肉などをボイルする場合は、茹でるのではなく、お湯が沸騰したら火を止めて具材を入れるという方法が紹介されています。こうすることで茹で過ぎてパサパサするのを防ぎ、ぷりっとしたおいしい状態で仕上げることができるとのことです。

 もちろんどちらも食材の状態によってばらつきもあるため、火入れの時間の見極めは必要ですが、この知識があればただ焼くだけのソテーや茹でて野菜とあえるだけの魚介サラダなど、時短にもなる料理が得意料理になりそうです。

 本書ではその他にも「冷たい食材を入れたら一度火を強火にする」などの基本知識も紹介。登場するレシピを作れるようになるだけでなく、自分の料理の腕自体を一段上げることができる一冊です。

文=原智香

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