仕事における「なんとなく」からおさらば! ビジネスチャンスを逃さない論理的な思考力が身に付く小説

ビジネス

公開日:2023/3/29

なぜ君は、科学的に考えられないんだ?
なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』(松尾佑一/クロスメディア・パブリッシング)

 ビジネスには「科学的な考え」が必須。ある変人教授と出会った主人公の若手社会人・山田咲良の成長を描くビジネス小説『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』(松尾佑一/クロスメディア・パブリッシング)は、彼女の経験を擬似的に体験できる私たちも、ロジカルな思考法を学べる一冊である。

起承転結だけではダメ!? 説明では一本道の流れが重要

 化粧品会社に就職して3年目の咲良は、やる気はあるが、空回りしがちで、論理より感情で判断する傾向がある会社員だ。ある日、ここ一番のプレゼンに失敗して落ち込む咲良は、会社のプロジェクトを通して「変人教授」斑目兎志男と出会うことになる。

 斑目教授のもとで、資料を見ながら化粧品の成分に関して説明を展開する咲良。しかし教授からの詰問に窮し、やがては「なぜ君は、科学的に考えられないんだ?」と問い詰められてしまう。

 そのとき、教授は咲良の話に「起承転結の転がなかった」と指摘した。起承転結は人に物事を伝える際の基本的な構成として広く知られる。しかし、伝える上では流れを意識しなくてはならない。教授は咲良に対して「はじめの状況説明」「問題提起」「なぜ解決されなければならないのか」「だからどうしたい?」を起承転結の流れに盛り込み、話が一本道となるようにとアドバイスした。

 加えて、意味を理解している数値を用いて説明する、一文が無駄に長くならないようにする、主語を明確にして話すのもポイント。冗長にはせず、簡潔に分かりやすく伝えるのが、説得力あるプレゼンの出発点となる。

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書類を探す、メールの処理…仕事の「無駄」を減らすには?

 ある日、途切れぬメールやSNSの通知に辟易した咲良。そんな中、教授からの指示が書かれたメールを忘れていた咲良は、急いで研究室に足を運んだ。

 謝罪する咲良を前に、教授は「今日は仕事の処理について話をしてみようか」と提案。物事には、放っておくと乱雑、無秩序、複雑な方向に向かい、自発的に元に戻ることはないという法則があると解説をはじめた。

 その法則を前提に教授は「毎週、金曜日の朝にデスクを片付けることにしている」と、咲良に話した。理由は書類を探すための無駄な時間を減らすため。これはほんの一例で、業務においてはこのようにルーティンを作るのが大事で、仕事が溜まり続ける状況を避けるべく、仕事環境を修正する必要性を咲良へ伝えた。

 その後、咲良は自身の環境を見直した。例えばメールチェックは、始業直後と昼食前、午後の3回にして、それぞれ一時間だけにする。デスクの上を一日のおわりに整理する、といった自分なりのルールを作っていった。

 細かな仕事を放置していると、後で余計な手間が生じてしまう。そのため、やはりルールを決めて職場環境を整理するのは必要なのだ。

 このほか、データの扱い方など「科学的な考え」に必須の要素を学べる本書。これまでなんとなくでしていた判断や説明とおさらばするのは、デキるビジネスパーソンに近づく第一歩となる。

文=カネコシュウヘイ

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