ハンバーグをしっとり柔らかく仕上げるには? 土井善晴が教えるレシピでいつもの家庭料理がおいしくなる!【作ってみた】

暮らし

公開日:2023/6/2

土井善晴のレシピ100
土井善晴のレシピ100』(土井善晴/Gakken)

 ハンバーグやから揚げ、肉じゃが、炒め物やスープなど、日常的に作っている“いつもの料理”は、それなりに料理をする人ならば大抵は作れるもの。しかし案外、“本当においしくなる正しい作り方”を聞かれると、「こうだったような気も…」と分かっていないことも。もちろん好みはあるだろうが、作る頻度が高いからこそ、一度プロの作り方をしっかりと学んでおきたい気もする。

土井善晴のレシピ100』(土井善晴/Gakken)は、そんないわゆる「家庭料理」の基礎を改めて学ぶためのレシピ本。著者の土井善晴さんは、スイス、フランス、大阪などで料理の修業をし、土井勝料理学校講師を経て、NHK『きょうの料理』への出演や多数の料理本の出版などを通して和食文化を未来へ繋ぐための「和食の初期化」「持続可能な家庭料理のスタイル」を提案している料理研究家。

 本書は、そんな土井善晴さんの、「何度も作りたくなる家庭料理」のレシピが100品も紹介されている決定版。難しいことはせず、それでいて食材を丁寧に扱う作り方から、和食への強い思いが伝わってくる。筆者も改めて基礎を学ぶべく、早速いくつか作ってみることにした。

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しっとりふんわり柔らかな絶品「ハンバーグ」の作り方

土井善晴のレシピ100

 1つめは、「ハンバーグ」をメインに付け合わせで「キャベツのカレーボイル」「じゃがいものソテー」を作ってみた。

【ハンバーグ】

 ボウルに合いびき肉、みじん切りにして炒めた玉ねぎ、ちぎって牛乳に浸した食パン、卵、塩、こしょう、ナツメグを入れ、粘りが出るまで混ぜて4等分する。手に打ちつけながら成形し、油を熱したフライパンで焼き色がつくまで焼いて裏返す。蓋をして蒸し焼きにし、火が通ったら取り出して、トマトケチャップ、ウスターソース、赤ワインをひと煮たちさせ、練りがらしを加える。あとはお皿にハンバーグを盛りつけ、ソースをかけて完成。

【キャベツのカレーボイル】

 大きな短冊に切ったキャベツ、水、塩、カレー粉、オリーブオイルを鍋に入れて煮立て、ときどき混ぜながら火を通して完成。

【じゃがいものソテー】

 皮をむいて切ったじゃがいもを鍋で水から茹で、ある程度柔らかくなったら余熱で火を通す。フライパンにサラダ油、バターを入れて熱し、水気をきったじゃがいもを加えて薄塩をして、両面をこんがり焼いたら完成。

土井善晴のレシピ100
筆者が作った「ハンバーグ」「キャベツのカレーボイル」「じゃがいものソテー」

 ハンバーグの生地は、「これで大丈夫かな……」と少し不安になるくらい柔らかいため、成形したら油を塗ったお皿に並べ、それを滑らせるようにしてフライパンに入れると作りやすい。ふわっとしっとり柔らかく、それでいて肉のうまみをしっかりと感じられる、絶品ハンバーグに仕上がっていた。ソースも、練りがらしを加えることで味が引き締まり、柔らかいハンバーグにパンチのある味わいをプラスしてくれる。ごはんとの相性もより高まっているように感じた。カレー味が食欲をそそるキャベツと、ホクホク感を楽しめるじゃがいもとの相性も抜群!

ホクホクした食感に! 無水で作る「肉じゃが」レシピ

土井善晴のレシピ100

 2つめは、無水で作る「肉じゃが」。

【肉じゃが】

 蓋がしっかりと閉まる鍋にサラダ油を熱し、皮をむいて3つに切ったじゃがいもを表面が透き通るまで炒める。次に皮をむいて芯を残したままくし切りにした玉ねぎ、下茹でして食べやすく切ったしらたき、食べやすく切った牛薄切り肉、酒、砂糖、みりんをふり入れ、蓋をして15分中火で煮る。醤油を加え、蓋をしてさらに5分ほど煮込み、仕上げに青ねぎを入れて2~3分煮たら完成。

土井善晴のレシピ100
筆者が作った「肉じゃが」

 酒を多めに入れて、野菜の水分を利用して無水で煮込むことで、じゃがいもはホクホクに、玉ねぎは甘みをしっかりと感じられる味わい深い肉じゃがに。じゃがいもは、先に炒めておくと味がなじみやすいとのこと。一晩置くと、じゃがいもにより味が染みておいしかった。

 作っていて感じたことは、食材の味・魅力を引き出すことを重要視しているのだということ。無駄はなく、しかし省略しすぎることもなく、適切な調理と味つけで食材を「食事」へと昇華させていく。また、調理方法の狙いやポイントも分かりやすく明記されているのもありがたい。2012年の発売以降、10年以上ずっと売れ続けているロングセラーというのも頷ける。料理初心者から、普段の料理を改めて見直したい人まで活用できる一冊。筆者も本書を活用して、改めて自分の料理を見直していきたい。

調理、文=月乃雫

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