アフタヌーンティーをマンガで学ぶ! 発祥からマナー、マウント合戦など小ネタまで。「ヌン活」が100倍楽しくなるバイブル

暮らし

公開日:2023/6/1

 近年、インスタグラムを中心に流行っているのが、ホテルのラウンジやカフェなどで提供されるアフタヌーンティーを楽しむ「アフタヌーンティー活動」(略:ヌン活)。「ヌン活」の醍醐味は、非日常的な気分を手軽に味わえるところにある。

 そんな特別なひと時を、より楽しいものにするため、ぜひおすすめしたいのが、知識ゼロからアフタヌーンティーを楽しめるようになる『マンガで早わかり!アフタヌーンティー 正式なマナーとちょっぴりエレガンスが身につく』(藤枝理子:著、川村ぺこ:マンガ/主婦の友社)。

 著者の藤枝理子氏は予約が取れないサロン形式の紅茶教室を開催する、アフタヌーンティー研究家。本作では、4人のイケメン執事たちが文字解説だけでは分かりづらい、アフタヌーンティーの歴史やティーマナーを紹介。俳優やモデルなどマルチに活躍するハリー杉山氏が“紅茶紳士”として語る、「ティーポリシー」も必見だ。

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アフタヌーンティーの裏側では「マウント合戦」が繰り広げられていた!

マンガで早わかり!アフタヌーンティー 正式なマナーとちょっぴりエレガンスが身につく p.15

マンガで早わかり!アフタヌーンティー 正式なマナーとちょっぴりエレガンスが身につく p.16

 物語は、漫画を描くことが好きな「杏里あまな」が大英帝国時代にタイムスリップし、4人の執事に出会ったことから幕を開ける。

 イケメン執事たちと関わる中で、あまなはヴィクトリア女王によってアフタヌーンティーが人々の間に浸透していったり、「紅茶とミルクは、どちらか先か論争」が100年以上にもわたってイギリスで繰り広げられていたりしたことなどを知り、驚愕。

 歴史的な話は堅苦しくなりやすいが、本作はユーモアを交えながらコミカルに解説しているため、頭にスっと入ってくる。

 個人的に驚かされたのが、その昔、アフタヌーンティーの裏側ではマウント合戦が繰り広げられていたという事実。かつて、イギリスでは繊細で上品に頂けるフランス菓子が最高の贅沢とされており、美食家で余裕のある貴族はフランス人シェフを雇うのがステイタスシンボルであったそう。

 また、寒冷なイギリスでは育てることが難しいキュウリを自宅の温室で栽培し、シェフに薄く切らせてキューカンバーサンドイッチにして振る舞うことで、財力と腕のいいシェフがいることをアピールするマウント合戦が繰り広げられていたのだとか。

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 こんなクスっとさせられる歴史もあったことを知ると、国という垣根を越え、誰もが手軽にアフタヌーンティーを楽しめるようになった今が尊く思える。本作で得られる知識は、いつもの紅茶タイムをより愛しくするエッセンスにもなるはずだ。

「スリーティアスタンド」をエレガントに頂くティーマナー

 本作では、アフタヌーンティーに適した服装や着席の仕方など、基本的なティーマナーも紹介。知識がないことから「ヌン活」に踏み出せない人の背中を押す。

 また、エレガントな紅茶の飲み方、ついやりがちな美しくない所作なども教えてくれ、「ヌン活」ファンは周囲と差がつくティーマナーを身につけられるはずだ。

 例えば、3段スタンドにケーキやサンドイッチなどを並べたスリーティアスタンドも知識があれば、品よく楽しめる。実はスリーティアスタンドには「塩味から甘味へ」という食べる順番があるそう。

 スリーティアスタンドのフーズは素手で自分のお皿に取り分けてから食べるのも、大切なマナー。サンドイッチのように手が汚れるものは、取り分ける時も食べる時も左手を使うのがポイント。このマナーには、サンドイッチの油分で指が滑り、右手でカップの持ち手が掴みにくくなるのを防ぐ意味がある。

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 そして、アフタヌーンティーで登場することが多いスコーンは大きく分けると「カントリースコーン」と「アフタヌーンティースコーン」に分類でき、種類によって割り方が異なるそう。

「カントリースコーン」は、オオカミの口と呼ばれる割れ目を境目にして手で押し上げると綺麗に横ふたつに割れる。「アフタヌーンティースコーン」の場合は、ナイフを横に入れて切り分けるのがよいそうだ。

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 食べる時は、スコーンをひとくち大に割り、ティーナイフでジャムとクリームをのせるとエレガント。エレガントさを追求するアフタヌーンティーという文化には時間と空間を共有する人に不快感を与えないよう、思いやりから生まれたマナーがたくさんあるのだ。

 本作では、おうちアフタヌーンティーを楽しむための必須アイテムや不動の人気ナンバーワンケーキ「ヴィクトリアサンドイッチ」のレシピも掲載。自宅で癒し度満点なティータイムを満喫したい時にも、大いに役立つ。

 今日からもっと紅茶と仲良くなって、素敵なアフタヌーンティーを愉しんでほしいという、あとがきに綴られた著者の想いが多くの人に届いてほしい。

文=古川諭香

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