女性の体は7年ごとに変化。体や季節に合った料理やアロマを、漢方の基礎に学ぶ『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365 』

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公開日:2023/8/10

1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365
1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(久保奈穂実/世界文化社)

 近年、漢方が注目されている。中国で生まれた漢方は、東洋医学を基にしているので、難しいとイメージする人も少なくないだろう。しかし、人間も自然の一部と捉える漢方は、何世紀もの間、日本に根ざして発展してきた。1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(久保奈穂実/世界文化社)は、「缶詰養生」などSNSを中心に人気を集める漢方アドバイザーの著者が、365日、毎日手軽にできる養生を集めた本である。

 1日ずつ読むのも良し、1か月ぶんをまとめて読んで、その月に備えるのも良し。様々な読み方ができる。

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まずは漢方の基礎の基礎をチェック

 漢方のことなんてほとんど知らない、という方もご安心を。著者が大切だと訴えている「養生すること」の「養生」とはどういう意味なのか。漢方の基本的な考え方と言われる「陰陽」とはどんな考え方なのか……。基礎的なことは最初にまとまっているので、まずは目を通しておきたい。

 女性は歳を重ねるごとに、様々な不調が生じることもある。漢方では女性の体調は生理が始まる、白髪が増えるなど、7年サイクルで変化すると考えるそうだ。(男性は8の倍数)。

 基礎的なことを理解しておけば、自分には何が必要なのか、どの不調の原因に、どう対処したら良いのかがわかり、効果を実感しやすくなる。また昔の人の考えを知るということは純粋に面白い。

本当に小さなことだけど効果は抜群

 私は低気圧にとても弱く、梅雨の時期はむくむ。なんだか水を吸った粘土のように動きが鈍くなり、身体自体が重たくなるのだ。一日寝てれば治ることも多いが、社会人としてそうもいかない。

 6月11日に載っていた「レタスの海苔サラダ」を試してみた。レタス、海苔、トマト、きゅうりにオイルと醤油をかけるだけの簡単サラダだ。

レタスも海苔もきゅうりも、熱を冷ます作用と、利尿作用がある食材。生野菜は体を冷やすのでよくないと言われますが、体の熱を冷ましたいときにはむしろ生で使うほうが効果的。

 私のようなタイプは体に熱がこもるため、排出を心がけるとすっきりするのだろう。実際このサラダは料理が面倒くさい時にもすぐ作れるし、ごま油と合わせるとちょっと韓国風になり、アレンジもしやすい。

 この本では365日を四季に分けて「二十四節気」に分類、その上で1か月ごとに料理やアロマ、時期に合わせたフルーツや飲み物のおすすめなどが紹介されている。「気を使いすぎない」「推し活養生」など、他にも気になる項目が盛りだくさんだ。

 本記事は夏の項目を紹介したが、秋冬はいかにも体が温まりそうなとろみのある料理レシピも多い。どれもおいしそうで、ぜひその時期にも試してみようと思っている。次の季節が楽しみになる本でもある。

現代社会を養生して生きるために

 肝腎(肝心)とは、肝臓・腎臓・心臓はヒトが生きていく中で欠かせない臓器ということが語源だそうだ。

 漢方には何千年の歴史があり、時には古いのではと思うかもしれない。しかし、人間の体が急に鋼鉄になったわけでもなく、内臓の位置や骨の数といった、基本的な姿形は同じはずだ。

 日常生活に養生する知識を取り入れ、自分の心と身体と対話する。どれだけハイテクな時代になってもそれが「肝腎」なことなのだろう。

文=宇野なおみ

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