まだまだ世界には素敵なモノがいっぱい! 「せかほし」本の第4弾で人生を変えるモノ探しの旅へ

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公開日:2023/11/15

世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4
世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4 ~まだ見ぬ宝物と人に出会う旅~』(NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班:監修/KADOKAWA)

 モノを大切にする人は、丁寧に生きる人。NHKの紀行番組「世界はほしいモノにあふれてる」を観るたびに、そんな思いが溢れる。そして、素敵なモノを選び、愛情を持って使い続ける世界の人たちの姿を前に、自分の毎日を見直したくなる。同番組を書籍化した『世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4 ~まだ見ぬ宝物と人に出会う旅~』(NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班:監修/KADOKAWA)は、そんな番組の魅力を象徴する1冊だ。

世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4

「世界はほしいモノにあふれてる」、通称「せかほし」は、日本のトップバイヤーが世界の素敵なモノを探す旅に密着する人気番組。本書は、その旅の模様と、バイヤーの人生や思いに迫るインタビューを掲載する「せかほし本」の第4弾だ。本書も5人のプロフェッショナルの濃厚な旅と心に響く言葉を紹介する。

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 シリーズ最新作の特徴は、既刊も含むせかほし本の中でも特に、人々の暮らしに溶け込むアイテムを取り上げていること。そのテーマは、インテリア・DIY、スパイス・ハーブ、花、おもちゃ、ティータイム・スイーツ。中にはマニアックなモノやプロならではのアプローチも登場し、それも「せかほし」ファンの心をくすぐるのだが、本書は、モノに対して特別、時間やお金をかけているわけではない普通の視聴者や読者も、自分の生活に引き寄せてワクワクと楽しめる内容だ。

世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4

 海外への渡航困難な時期を経た、アフターコロナの旅ならではの発見があるのも本書のポイントだ。コロナによる生活や嗜好の変化が影響しているのも面白い。たとえば、内装デザイナーの坂田夏水氏がヨーロッパを巡る旅では、パリに住む人の部屋づくりのアイディアを紹介。植物や廃材を取り入れた内装が刺激的で、心地よさを追求したクッションのセレクトも楽しい。コロナの影響でおうち時間が長くなる中で、パリの人々は部屋に手をかけることを当たり前に楽しんでいるという。

世界はもっと!ほしいモノにあふれてる4

 カレー研究家・水野仁輔氏の旅では、パリのスパイスと素材のマリアージュを追求する料理のトレンドと、スパイス調味料の需要がコロナ前の1.5倍に増えていることを紹介。また、フローリスト・高野のぞみ氏が訪れたロンドンでは、コロナによる結婚式やイベントの中止で生花が余ってしまったことからドライフラワーがブームとなり、幅広いシーンで楽しまれるようになったという。本書を読むと、コロナをきっかけにモノへの関心が世界中で高まっていることを感じる。同時に、旅で出会う素敵なモノの数々に、忙しい毎日で使い捨てのモノばかりに頼ったり、生活を彩ったりすることを忘れていた自分に気付く。

 手軽なセルフリノベーションの方法や、料理に使えるミックススパイスの作り方、花の飾り方など、本格派かつ手軽なノウハウが紹介されているのも嬉しい。自分の気持ちが動いたアイテムの楽しみ方を生活に取り入れることで、心が豊かになりそうだ。また、プロフェッショナルの旅やインタビューを通して、海外で、素晴らしいモノや人に触れて人生が変わる経験の尊さを強く感じる。身近なモノや日常の大切さに気付かせてくれると同時に、自分を変えるモノ探しの旅に出てみたくなる1冊だ。

文=川辺美希

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