自分の夫が重婚のサイコパスだったら…? 人生の最高潮から絶望へ、そして復讐へと大展開するマタニティ・ラブサスペンス

マンガ

PR公開日:2023/12/6

夫は私の夫じゃない
夫は私の夫じゃない』(左藤いすみ、水色水晶:著、とらふぐ:監修/DPNブックス)

 モデルのような容姿に企業弁護士というハイスペック。そんなスパダリ男子からまさかのプロポーズを受ける“私”。彼から早く子どもが欲しいと言われ、その想いを受け入れた“私”は懐妊。人生で最高潮のときを迎えるが――。

『本気の恋はクズとの不倫でした ~本妻の裏アカで暴かれる男の悪行~』『Imitation Love~夫婦崩壊~』など、男女のドロドロとした愛憎に焦点を当てた力作を多数輩出するDPNブックス。本稿で紹介する『夫は私の夫じゃない』(左藤いすみ、水色水晶:著、とらふぐ:監修/DPNブックス)もまた、既作に勝るとも劣らないパンチ力のある内容だ。

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 大手企業の研究職員として着実にキャリアを積みながら、恋愛経験に乏しいまま三十代になった高野冬実。このまま自分はおひとり様として生きていくのだろうか……という漠然とした諦めを抱きつつあったときに出逢ったのが、会社の新たな顧問弁護士となった九条卓也だった。

夫は私の夫じゃない

 卓也から好意を示され、少しずつ距離が近づき、ついには結婚を誓いあう仲に。子どもを熱望する彼の期待に応えて冬実は妊娠。卓也からいっそう愛を注がれるのだが……思わぬ落とし穴が待ちかまえていた。

 卓也は「身重のきみを気遣って」と冬実の職場へ勝手に休職届を出したり、食事にサラダを用意したら「身体を冷やすな」とキレたり。徐々にその本性が露わになってくる。

夫は私の夫じゃない

夫は私の夫じゃない

 子どもができたことを喜びながらも、パートナーである私自身のことを彼は労ってくれていない……そんな不安を感じるようになった冬実に、とどめとばかりに驚愕の事実がもたらされる。なんと卓也には自分の他にも結婚を誓った女性がいて、その女性・美恵子もまた妊娠しているのだった。

夫は私の夫じゃない

夫は私の夫じゃない

 そして明かされる卓也の正体――彼は、自分の“素晴らしい”遺伝子を社会のために残さなければならないと考えており、自分の眼鏡に適った女性たちを次々に妊娠させようとしているサイコパスなのだった。

夫は私の夫じゃない

 愛した男は重婚のサイコパス。妊娠中の女性にとってこれ以上はないほど絶望的な状況である。だが、その一方で卓也もまた哀しい過去を背負っていた。なぜ自分の遺伝子を残すことに執着するのか、しあわせな家族像を追い求めるのか、その理由が描かれているだけに、卓也にも若干の同情を禁じ得なくもない(いや、やっぱり無理?)。

 冬実と美恵子の共通の友人が、義憤に駆られて卓也の行状をネットに拡散すると、瞬く間に“重婚男”としてバズってしまう。なんとしても自分の計画を完遂したい卓也は、冬実が無事に子どもを産むまで拉致軟禁する手段に出るが……。クライマックスに向けての衝撃的な展開もさることながら、第二部で弁護士から“教祖”へとパワーアップしている卓也の姿はさらに衝撃的だ。

夫は私の夫じゃない

 もしも自分のパートナーがサイコパスだったら――劇薬のような設定と独特のキャラクター造形、そして二転三転するストーリーが癖になる、戦慄のマタニティ・ラブサスペンスだ。

文=皆川ちか

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