ビジネスホテルの“ぼっち宿泊”にわかりみ満載!? ひとりだけの時間と空間がとっておきのストレス解消法

マンガ

公開日:2023/12/19

『独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記』
独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記』(あやか:原作、水島みき:漫画/KADOKAWA)

 リフレッシュしたいとき、気分を変えたいとき、はたまたやりたいことが多くて集中したいとき、比較的お手頃な価格で利用できるビジネスホテルは強い味方になる。「一人でホテルに泊まるなんて暇なの?」「お金がもったいない」と思う人もいるかもしれないが、騙されたと思って一度体験してみてほしい。一泊でも二泊でも、その効果は、きっと想像以上のはずだから。

独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記』(あやか:原作、水島みき:漫画/KADOKAWA)は、そんな一人でホテルに泊まる「ぼっち宿泊」を楽しむアラサー女性を描いたコミックエッセイ。原作を手掛けているあやか氏は、普段は会社員として働きながら、週末にビジネスホテルに宿泊してその様子をYouTubeで配信している。SNS映えや華やかさを狙ったものではなく、身近なところで用意した食品とお酒を片手にくつろぐリアルな様子が描かれているのが特徴だ。

 主人公・あやか(33歳)にとってビジネスホテルへの宿泊は、会社で溜め込んだストレスを解消する自分へのご褒美。だからとことん自分を甘やかす。食べたいものと飲みたいお酒を好きなだけ買って、部屋に入ったらベッドへダイブ。お気に入りのクセT(=クセの強いTシャツ)に着替えてビールをあおり、好きなことをしながら一人おこもりメシを満喫する。周りにはまったく理解してもらえないし、家族には結婚できるのかと心配されるが、それでもお構いナシ!

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 だが、あやかも「彼氏はいらない」とか「結婚したくない」とか思っているわけではない。日々理想の相手を求めて婚活に勤しんでいるし、年下の従姉妹が結婚した際には「なんかちょっと負けた気分になるのはどうして」と沈む姿も描かれる。しかし、それとこれとは別。今のあやかにとっては、この「ぼっち宿泊」が至福なのだ。

 実は筆者も一人でホテルに泊まるのが好きで、たまにこれという目的もなく宿泊予約を入れては一人の時間を満喫している。食パンや生ハム、カットレタスなどを買い込んでサンドイッチを作ったり、普段買わないお惣菜やちょっと贅沢な一品を揃えて楽しんだり、キッチン付きなら地元の食材を買い込んで料理をすることもある。快適かつ非日常な空間で、ちょっとだけ特別な時間を過ごす贅沢。この幸せは、一度味わうとやみつきになる。本作であやかの行動を追いながら、「うんうん分かる!」「だよね!」と思わず強く頷いてしまった。

 あやか自身がしっかり休息を取ることで、いつもは怖い会社の先輩の「母親」としての顔など、周囲の新たな一面に目が行く場面も。そして、あやかが子どもの頃から抱えてきた亡き父親への思い込みや感情も、ビジネスホテル(とお酒)の力に助けられて動き出す。家族だからこそ、離れることが難しいからこそ、ちょっとした勘違いから気まずくなってしまうこともあるのかもしれない。だが本当は、あやかは愛されていた。それを知った彼女の心は溶け、大きく前進する。

 これからもあやかは、少しずつ成長しながら、ビジネスホテルでぼっち宿泊や一人おこもりメシを満喫していくことだろう。また、作中であやかが宿泊しているホテルはすべて実在するため、ぼっち宿泊を実践したい人のホテル選びや予習としても活用できる。日々ストレスに晒されて疲れている人、思いっきり羽を伸ばしたい人は、この作品を参考に、一室予約するところから始めてみるといいかもしれない。

文=月乃雫

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