「脳科学捜査官 真田夏希」大人気シリーズ最新刊の舞台は豪華クルーズ船。閉ざされた空間で犯人の心理を読み、事件を解決できるのか!?

文芸・カルチャー

公開日:2024/1/23

脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン(角川文庫)
脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン(角川文庫)』(鳴神響一/KADOKAWA)

私が愛したサムライの娘』で角川春樹小説賞(2014年)、野村胡堂文学賞(2015年)を受賞し、多くの警察小説や歴史小説を手がける作家・鳴神響一さん。中でも神奈川県警初の心理職特別捜査官となったヒロイン・真田夏希の活躍を描く警察小説「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズは累計41万部を誇る大人気シリーズとなっている。2017年に開始したこのシリーズは、すべて文庫書き下ろし。ここ数年は年に4冊のハイスピードで新刊が登場しており、現在すでに18冊が既刊。巻を増すごとに「男社会」の警察組織の中で大活躍する美人捜査官・夏希の魅力はパワーアップし、すっかり魅了されている読者も増加中だ。ドラマ化を望む声も日に日に高まるなか、2024年1月23日に19冊目となる最新刊『脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン(角川文庫)』(KADOKAWA)の発売が決定し、さらに注目されている。

 警察庁サイバー特捜隊に属する真田夏希は、神奈川県警時代の後輩・捜査一課の小堀沙羅と久しぶりの休暇に豪華クルーズ船「ラ・プランセス号」で神戸に向かおうとしていた。豪華な調度品やインテリアに魅了され、シャンパンで旅立ちの祝杯をあげるふたり。船の出港直後に沙羅の携帯には署から事件発生の報が入るものの、ここは海の上。神戸に戻ってからすぐに前線に戻ることにしてヴァカンスを続行…のはずが、藤沢市内で起きた傷害事件の犯人が逃亡の末にラ・プランセスに乗り込み、犯人を追ってきた江ノ島署の加藤と北原も同じ船に乗船したとの連絡が再び沙羅に入る。もはやヴァカンスどころではなくなった沙羅につきあい、夏希も加藤たちと合流し、犯人逮捕に協力することに――。

 せっかくのヴァカンスが消えてしまうなんて、警察官はなんて因果な商売…と夏希と沙羅に同情する間もなく、なんと物語はその後に急展開。単なる逃亡犯の逮捕ではなく、予想外の大規模シージャック事件へと発展し、乗船客もろとも夏希ら自身も人質になってしまうのだ。マスコミへのリークや海保や警察が下手な動きをすると「全員を殺す」というシージャック犯にどう対峙するのか。最初こそ沙羅の手伝い気分だった夏希も本部から重要なミッションをまかされ、シージャック犯の心理を読み、巧みにゆさぶる心理職特別捜査官としての手腕を発揮することになる――と、ここまで書いてもネタばらしにならないのが本書のすごいところ。この先も続くピンチの連続に思わぬ助っ人がさらに登場し、事態は二転三転。思いもよらない結末まで一気に読ませる!

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 ちなみに今回で全19冊となる本シリーズだが、通し番号がなく、サブタイトルが「イノセント・ブルー」「イミテーション・ホワイト」など色の名前となっているため、「どこから読んだらいいの?」という方もいるだろう。最新刊から読み始めるのももちろんおすすめだが、最初から読みたいという方はKADOKAWA文芸webマガジン「カドブン」の【2023年最新版】鳴神響一「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズ全作品紹介!も参考になるだろう。

文=荒井理恵

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