クイズで学び10倍株を見つける「ストーリー投資」の極意。Xフォロワー38万人のエミン先生による夢を叶える投資脳のつくり方

ビジネス

公開日:2024/2/5

夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方
夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(エミン・ユルマズ/扶桑社)

 お金で手に入らないものはたくさんあるが、お金で手に入るものもたくさんある。2024年に新NISA制度が始まり、「投資ブーム」はしばらく続きそうだ。『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(エミン・ユルマズ/扶桑社)はトルコ・イスタンブール出身で、東大を卒業後野村證券に入社した著者(Xのフォロワーは38万人)による、「ストーリー投資」をテーマにした本である。

 映画を撮りたいと思っているが、お金がないとくすぶっている主人公・カルタ君のもとに、ランプの精・エミン先生が現れ、10倍株(テンバガー)を探す旅に出発する。ストーリーに沿ってクイズを解くことを通じて、投資の本質や基礎がわかりやすく学べる。

そもそもテンバガーとは?

 本屋に行き、金融コーナーに行けば目にする機会も多いこの言葉。「バガー」は野球で塁打を意味する。つまり、テンバガーとは10塁打のこと。

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ありえないほど株価が急騰した株、10倍になった(なりそうな)株を指します。

 身近なもので言うとファーストリテイリング(ユニクロ)、ニトリ、神戸物産(業務スーパーの運営会社)など。テンバガーは実は、我々の身近なところから現れているのだそうだ。

 ストーリー投資とは、かいつまんで言うと、自分の好き・気になる会社の株が10倍株に育つまでのストーリーを描いて投資することである。

 詳細は主人公・カルタくんがひとり湯豆腐専門店「これから湯豆腐」の運営会社の株を買って、成功を手にするまでの物語とともに解説される。イラストが多く、基本的にはエミン先生とカルタくんの会話形式なのでとても読みやすい。株式投資の基本的な用語の説明も、細かく丁寧に書かれているので、初心者の人でも安心だ。

株の「一生」に付き合うストーリー投資

 主人公のカルタ君は、ランチタイムをきっかけに湯豆腐の専門店に狙いをつける。運営会社はイケメン社長が有名な「株式会社ダイズ」。株を買ったカルタ君は社長のスキャンダル、決算発表、株主総会、買収…ベンチャー企業が迎えるあらゆる波に、ハラハラしながら立ち向かう。何かが起これば、株に影響する。

 その株が成長すると見込んだストーリーは揺らがないからそのままでいるか、はたまた株を買い足すか、それとも見切りをつけて売るのか。カルタ君はさまざまな判断を迫られるようになる。

 ストーリー投資とは「自分が持っている株の一生に責任を持つこと」なのだと思った。最初カネのなさを嘆いてばかりだったカルタくんのエピローグでの成長にはきっと驚かされるだろう。

未来を想像する「ストーリー投資」は生きる力にもつながる

 この会社はきっと成長する! と買ってみたとしよう。最初に描いたストーリーは、もしかしたら単なる妄想として失敗するかもしれない。もちろん、そうしたリスクは投資につきもの、すべては自己責任である。

 失敗は怖い。しかし、情報を調べ、分析し、荒波に立ち向かう、自分で判断するといった経験は貴重だ。株を通じて自身の道筋を立てる力、つまり、生きる力にもつながっていくだろう。株式投資に興味がある人への入り口として、ぴったりな本だと思う。ぜひ、物語を読む感覚で一読してみてほしい。

文=宇野なおみ

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