炎上して誹謗中傷を受けた時にどうすればいい? 年末年始の気が緩みがちな時に読みたいマンガ3選

マンガ

公開日:2024/1/1

 寒い日が続き、まもなく年末年始が訪れる。家でこたつにまるまって過ごしたり、実家に帰ったりと、いろいろな計画を練っている人も多いだろう。一方で年末年始は気がゆるみ、思わぬトラブルが起こりがちな時期でもある。また年が明けて仕事や学業で忙しくなった時、「時間がある時に◯◯をすれば良かった」と思う人も多いのではないだろうか。

 そんな皆さんに提案したい。楽しみながら漫画を読むことで、2023年の自分や休暇中の生活を見直す機会を作ってみるのはどうだろうか。そのために読んでほしい漫画を3作ピックアップして紹介したい。

長期休暇はネットトラブルが頻出!知らないうちに加害者になってない?
『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』

『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』のレビューを読む

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しょせん他人事ですから
しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』(左藤真通:原作、富士屋カツヒト:作画、清水陽平:監修/白泉社)

 長期休暇になると決まって問題になることがある。インターネットのトラブルだ。年末年始は休暇中の人が多いため、なにげなくスマホでSNSを見て投稿することがあるだろう。ただ今の世の中、思いもよらない投稿が炎上して、自分の人間関係に支障が出るだけではなく、学校や職場で罰則を科される可能性はある。私の顧問弁護士は、投稿だけではなく、今は「いいね」も処罰の対象になるかもしれないと言っていた。気がゆるみがちな時ほど注意しなければならない。

 とはいえ注意が必要だとわかっていても、どんなことがインターネットのトラブルに発展するのか詳しく知らない人がほとんどだろう。『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』(左藤真通:原作、富士屋カツヒト:作画、清水陽平:監修/白泉社)は、インターネットのトラブルに詳しい弁護士が「他人事」をモットーに依頼者のトラブルを解決していく物語だ。「他人事」としてあえて依頼者と距離をとることで、読者の私も客観的にインターネットトラブルについて学ぶことができる。

 この漫画からは、炎上して誹謗中傷を受けた時にどのように情報開示請求をするか等、自分が被害者になった時に役立つ知識を得られる。一方で驚かされるのは加害者が軽い気持ちでインターネットを通して人を傷つけ、「自分は悪いことをしていない」と思っていることだ。多くの人は自分がトラブルの被害者になる想定はしていても、どのようなことが加害行為になるのかわからずにインターネットを使っていることが多いのではないだろうか。

 年末年始、インターネットやSNSを楽しむ前に、本作をぜひ一読してほしい。本作は決してかたくるしい内容の漫画ではない。ところどころに「他人事」を強調する主人公の弁護士と、「依頼者の話をもっと聞いて」と弁護士に詰め寄るパラリーガル(弁護士の業務を補助する職業)の漫才のようなやりとりがちりばめられ、笑える要素もあるのだ。楽しんで読んでいるうちに、気づけばインターネットトラブルについて詳しくなっているという不思議な漫画である。

来年からやってみたい!充実した人生を送るための家計管理
『お金の不安すっきり解消! 理系夫の家計大作戦』

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理系夫の家計大作戦
お金の不安すっきり解消! 理系夫の家計大作戦』(くぼこまき/オーバーラップ)

 お金の問題は生まれてから死ぬまでつきまとう。年末年始に時間をもてあましている人は、ぜひこの機会に家計管理について考えてみてほしい。専門書やインターネットよりも、わかりやすく知りたい人におすすめなのがコミックエッセイ『お金の不安すっきり解消! 理系夫の家計大作戦』(くぼこまき/オーバーラップ)である。

 お金について詳しくない作者のくぼこまきさんに対して、理系の夫が家計管理を教えるという内容である。本書で意外なのは理系夫の家計管理の目的が貯蓄ではないことだ。心配性で金銭管理が苦手な私は、貯蓄額が増えれば安心してしまうタイプなのだが、理系夫は家族が安心して生活するだけではなく、どうすれば家族にやりたいことをさせてあげられるかも意識している。例を挙げると、無職だったくぼこまきさんが専門学校に入学できたのも、この理系夫の家計管理術のおかげなのだ。彼は自分の将来に役立つことは投資と見なしてお金を惜しまない。私の家族は夫だけだが、夫と本書の理系夫が重なって見えた。家事の手間が省ける家電、私や夫の将来の夢につながる投資に「いくらかかった? もっと安くできなかったの?」と文句ばかり言う自分をかえりみて反省させられた。

 コミックエッセイで人生のための家計管理を学ぶことは、結婚しているかどうかや子どもの有無を問わず、とても大切なことだ。新しい年を迎えるにあたり、本書を読んで家計管理の目的や、そのために何をすればよいのか考えるのはとても有意義なことではないだろうか。

運動不足になりがちな年末年始、この漫画を読めば外出したくなる!
『グレさんぽ ~コロナとか養蜂とか京都とか~』

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グレさんぽ
グレさんぽ ~コロナとか養蜂とか京都とか~』(グレゴリ青山/小学館)

 年末年始は寒い。外に出るより家で過ごしたいと思ってしまう。こたつに足を入れて横になりながらひたすらお餅を食べ、テレビや動画配信サイトで年末年始の特番を見ていると三が日はあっという間に終わる。例年、私も休暇が終わって久々に外に出ようとすると体が重くなっているのを感じる。反省して「来年の年末年始こそは」と決意するのだが、1年経つとまた年末年始を怠惰に過ごしてしまう。

 しかし今年は1冊のコミックエッセイを手に、年末年始はインドア派から卒業しようと決めた。そのコミックエッセイとは、グレゴリ青山さんの『グレさんぽ ~コロナとか養蜂とか京都とか~』(グレゴリ青山/小学館)である。新型コロナ流行による自粛期間は、「年末年始、寒いから外に出たくない」といった個人的な気持ちとは違い、遠出することが社会的に難しくなった。そんな時、グレゴリ青山さんは人の少ない近所を散歩して、「遠出をしなくても近場で行ったことのないおもしろいところ」を見つけていくのだ。

 読んでいるうちに「寒いし年末年始だから外に出なくてもいいや。もう若くないし」と甘ったれて年明けに不健康になる自分が恥ずかしくなった。年齢も住んでいる場所も関係なく、外の世界は新たな発見で満ちていると気づかされる。年末年始に読めば必ず外に出て散歩をしたくなるコミックエッセイだ。

漫画でお役立ち情報を得て明るく2024年へ!

 この記事で紹介した3つの漫画に共通しているのは、「ストレスなく楽しみながら今の自分を変えられる」という点だ。長期休暇に起こりやすいネットトラブル、年末年始もつきまとう家計管理、年末年始に家でダラダラと過ごして体調を崩してしまうこと……そういった事態へのリスクヘッジにもなる3作だ。2024年を充実した年にするためにも、ぜひ読んでほしい。

文=若林理央

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