60通りの「死にかた」で警告する実用系ホラーマンガ。意外と身近な子どもの「死」を未然に防ぐには?

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PR更新日:2024/4/22

わたしの死にかた
わたしの死にかた』(湖西晶/日本文芸社)

 目を離した隙に起こる痛ましい事故で子どもが亡くなったことをニュースで知ると、なんともやりきれない気持ちになる。私たちが今日生きていられるのは、産まれてから今まで身近に存在する死の危険を、知ってか知らずか回避してきたからだ。子どもの頃は、保護者やまわりの人たちが注意して見ていてくれた……、そもそも保護者が何が危険かを知っていてくれたからこそだ。

 重版の続く大ヒット『意味がわかると怖い4コマ』を描いた湖西晶先生の『わたしの死にかた』(湖西晶/日本文芸社)が発刊された。本書は、不幸な事故に対してまわりの人が心にとめておけば多少は被害が少なく出来るはず、と啓蒙の想いを込めて描かれた実用系ホラーだ。危機管理のための実用書として持っていてほしい。

 本書では、分かりやすくまとめられた5コマ漫画で命の危険60ケースを網羅する。各ケースは、一見気をつけていれば大丈夫そうだが、子どもから目を離したその一瞬の隙で起こり得ること。日常の生活の様子を描いたかに見える4コマ目のあとの5コマ目で事態は急変する。対処法も書かれた解説付きで、知っていればとっさの判断でもしもの事態を回避することができるかもしれない。いくつかの例を見てみよう。

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 死は寄生虫や菌、自然の驚異によってもたらされることがある。北海道などでキツネをみつけたら、触ってはだめと言われたことはないだろうか。その理由はキツネをはじめとした野生動物にいるエキノコックスという寄生虫のせい。エキノコックスの卵が身体に入ることによって感染する「エキノコックス症」は、その生き物が暮らす水場も要注意だ。作中で子どもは保護者にすすめられ水を飲んでしまう。子どもが知らずともまわりの大人たちが知っていたら避けられることなのだ。

わたしの死にかた

わたしの死にかた

 また、科学薬品など科学的に起こる死の原因もある。科学が発達して便利な世の中だからこそ気をつけなければならないことがいっぱいだ。ふかふかのセーターを着て、チェーンソーを使うシーンがある。チェーンソーなどの回転工具を使うと火花がセーターに飛び、着衣着火してしまう事故が絶えないそうだ。ちなみに、湖西先生にインタビューした際、一番嫌なおすすめできない死にかたを伺うと「火傷で死ぬのは嫌だな」と述べている。「痛いし、もし助かったとしても治った後の後遺症がつらく、生物的にも火はこわい」と。

わたしの死にかた

わたしの死にかた

 中毒やアレルギーをはじめ病による死も気をつけねばならない。アレルギーは、原因となるものを少し食べようとしただけで唇や口内が腫れ上がってしまう人もいる。蕎麦アレルギーは特に症状が激しいと言われており、注意が必要だ。そばがら枕は通気性が良く、愛用している人もいて民宿や旅館などでも見かける。祖父母宅へのお泊りではじめてそばがら枕を使ったことによりアレルギーを発症し喉まで腫れ、呼吸ができなくなってしまったら……。祖父母や両親は悔やんでも悔やみきれないだろう。

わたしの死にかた

わたしの死にかた

 本書では、赤ちゃんから15歳になるまで1人の少女が様々な年齢で死ぬ様子が描かれている。少女のそれぞれの死にかたについて、自分には有り得ないと捨て置かないでいただきたい。少女のあの時のあの死にかたはもしかしたら自分にも起こり得ると、自分事として捉えてほしい。いつどこで何が起こるか分からないのだから。

文=山上乃々

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