これが、ホントの「女子力」!? 有川浩の胸キュン自衛隊ラブコメ!

小説・エッセイ

2013/5/11

ラブコメ今昔

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:有川浩 価格:609円

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「富士には月見草がよく似合う」。この本を読んで、そんな言葉を思い出した。どーんと立派にそびえたつ日本一の雄姿には、健気な月見草がよく似合う。まるで、自衛官とそれを支える恋人のようだ。チャラチャラ、キャピキャピしたミーハー女よりも、少し地味でも、内に芯の強さを持った女性のがずっと美しい。そういう力強さ、男性を立てて、信頼する心こそが、本当の「女子力」なのかもしれない。

自衛隊員の恋模様を描いた短編集『ラブコメ今昔』は、有川浩ワールド全開の作品だ。新幹線の中で出会った超かわいい年下自衛官との遠距離恋愛を描いた「軍事とオタクと彼」。自衛官の花形、ブルーインパルスに属し、モテモテの旦那を持つ妻の葛藤を描いた「青い衝撃」。上官の愛娘と恋に落ちてしまった自衛官の、「秘め事」。−−−−世の中には恋愛小説など吐いて捨てる程あるだろうが、本作は一味違う。自衛官の恋愛はそんな簡単なものじゃない。甘酸っぱさの中にも、何処か、現実のほろ苦さが付きまとう。

「僕たちは外部の人たちが思っているよりもずっと強く覚悟をしている」。自衛官としての義務を果たさねばならないという強い思いと、死を覚悟しつつも、内に秘める「絶対に生きて帰る」という決意。もしもの時に家を任せられる人がいるからこそ、自衛官は安心して旅立てるのだという。その想いに応えるため、恋人は、不安を抱えつつも、自衛官の無事を願い、家を守る。それぞれの決意や、互いを信頼し合う強い想いに胸が熱くなる。実際に自衛官の方々に取材をしたからこそ描けた、リアルな世界がここにある。

自衛官、という特殊な職業の恋物語と侮ることなかれ。この本を読んでいると、人と付き合うとは何なのか、人と向き合うとは何なのか、本当の「女子力」とは何なのか等と、あれこれ考えさせられてしまう。キュンとするだけの恋愛小説とは一味違う短編小説集。恋に悩む全ての人に読んでほしい1冊だ。


部下には厳しい上官を支えるのは、優しい妻の存在(「ラブコメ今昔」)

紛争地域への派遣を心配する恋人へ、想いを語る。自衛官としての強い覚悟が伺える(「軍事とオタクと彼」)

ブルーインパルスに属し、モテモテの旦那。モテモテだからこそ、妻としては不安になることも…(「青い衝撃」)

死と隣り合わせの職業だからこその葛藤。(「秘め事」)自衛官の恋愛って難しい。でも、だからこそ、本当の愛がここにはある!