【湊かなえ初の電子書籍化作品】 謎を解く鍵はSNSにあり? 電子時代のミステリ誕生!

小説・エッセイ

2013/8/31

白ゆき姫殺人事件

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:湊かなえ 価格:1,132円

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化粧品会社に勤務する美人OL・三木典子が斬殺された。会社で典子と組んで働いていた理沙は、さっそくそのニュースを知り合いのライター・赤星に伝える。赤星が調べていくうちに浮かび上がる容疑者の名前。同僚、同級生、家族、故郷の人々──噂によって形作られる容疑者の<魔女>性。果たして彼女は本当に残忍な魔女なのか?

被害者の同僚が社内で起きた大事件を知り合いに漏らす。そこまではよくある話だ。けれど本書が興味深いのは、その話をライターの友人に告げた理沙が「マンマローに書いたりしないでよ」と釘を刺すくだりである。マンマロー? 何だそれは。その疑問はタップで解決される。第1章の最後に「資料1」へ飛ぶリンクが貼られているのだ。それをタップすると「マンマロー」という名前のつぶやき投稿サイトが登場するのである。もちろん実際にそういうサイトがあってそこに飛べるわけではなく、あくまでも資料としての画像だが。

同様に、各章の最後には資料に飛ぶリンクがあり、その先には週刊誌の記事であったりマンマローの画像であったりが登場する。つまり本書は、本文の中で披露される「噂」だけでなく、それを踏まえてどのような記事が書かれたか、聞いたり読んだりした噂がSNSでどんな波紋を呼ぶか、それらが本文とセットで読者に届けられるのである。その結果、事件が一人歩きしていく様がまざまざと浮かぶ。なるほど、これは電子書籍ならではだ。

このくだり、単行本ではSNSや週刊誌の記事は巻末にまとめられていたようので、読者は行ったり来たりする必要があったろうが、それがワンタップでできるのは便利。そして章ごとに資料を挟んで読んでいった方が、おそらく全体像は掴みやすいだろう。これは電子で読むのに向いている作品。今後、もしかしたら文庫化の際に構成が変わるかもしれないが、少なくとも現時点では「本書を読むなら電子で」と勧めたい。

物語は、人が他人のどこをどう見ているか、その見方によって評価がどう変わるかという恐ろしさを紡いでいく。インタビュー形式であることや、複数視点で描写される人の多面性、それを語るインタビュイーの人間性など、構造そのものは前例がないわけではない。けれど湊かなえの巧さは、「あの人は嫌な人だった」と語る人物が紹介する「嫌だと思ったエピソード」のディテールにある。自覚のない悪意とはかくも恐ろしいものか。そこに週刊誌の過剰報道、ネットの炎上が加わる。人間の心に救う怖さと、それを増幅するメディアの怖さ。その両方が堪能できる企みに満ちたミステリだ。


章の終りには資料に飛ぶリンクが

資料1 つぶやき投稿サイト

資料には登場人物が書いた扇情的な週刊誌の記事も