本当の正義について考えさせられる、ちょっぴり不思議な奇跡の物語

小説・エッセイ

公開日:2011/10/14

チルドレン

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:伊坂幸太郎 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

大学生の鴨井は、友人の陣内と一緒に訪れた銀行で銀行強盗に遭遇してしまい、人質になるはめに…。「バンク」

家裁調査官の武藤は、マンガ本を万引きした少年と面接することになるが、その少年はずいぶんと自分の父親を意識しているようで…。「チルドレン」

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陣内がレンタルビデオ店の女の子に告白する場面に、無理矢理つき合わされた優子と永瀬。フラれた陣内は突然、時間が止まったと言い出した…。「レトリバー」

家事事件担当へ移動した武藤は、とある夫婦の離婚調停を担当することに。ところが陣内の担当する少年と意外な関係が…。「チルドレンⅡ」

デパートの屋上で陣内がバイトをするという話を聞いてやってきた優子と永瀬。ところがそこに陣内の姿はなく、代わりにいたのは…。「イン」

5つの作品が収録されています。それぞれ独立した物語ですが、読み進めていくうちに、今まで点だったものが線につながったような感覚に見舞われます。収録されている順番に読み進めていくことをお勧めします。

この作品の魅力は、なんといっても陣内さんのキャラクターでしょう。その性格と行動は信じられないくらい常識破りです。「普通こんなときにそんなことするか…!?」と思わず叫びたくなってしまうほど、ありえない事をしてくれます。でも不思議なことに、意外とそれが一番の正解だったりします。今まで常識だと思っていたことが、根底から覆されたような気分になりました。

私が特に印象に残ったのは、「チルドレンⅡ」です。その中で、大人が恰好良ければ子供はぐれないという言葉が出てくるのですが、まさにその通りだよなぁ…としみじみしてしまいました。やっぱり尊敬できる人には、盾突こうとは思いませんものね。大人になってからもそうですけど、尊敬できる上司や先輩にはついていこうと思いますが、そうでない人だとついていくのはちょっと…って思うこと、ありますものね(笑)。すごい! って思える人に素直に尊敬の念を抱くのは、子供でも大人でも変わらないと思います。

陣内さんとそれに振り回される周りの人たちとのやりとりが面白くて、一気読みしました。かなりオススメです。


5作品が収録されています

これじゃ会話したって言えませんよ、陣内さん…(笑)

見開きにすると、こんな感じです (C)伊坂幸太郎/講談社