あまりにくだんない!だけど奇才・松尾スズキ独得の比喩と毒と脱線に笑える、酔える、共感する

小説・エッセイ

2010/12/2

この日本人に学びたい

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 光文社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:松尾スズキ 価格:432円

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知る人ぞ知る、演劇界の奇才。

阿部サダヲやクドカンを生んだ劇団大人計画を主宰し、小説でも直木賞候補になった松尾スズキが、音楽雑誌BUZZに97~98年まで連載した人気コラムの電子本。

当時ちょっとイタかった芸能人や変わったキャラの有名人を取り上げて、独得の比喩と毒舌と松尾流の脱線でいじりまくる。

実は読み始めたとたん、あまりのくだんなさに失敗したと思った。でもせっかく買ったのだからと、気を取り直して読む。

で、気づいたのだ。 独善と妄想が渦巻くこのくだらなさの中に、松尾スズキが舞台で発する危ういオーラと同じ辛辣な輝きがあることに。ナンセンスなユーモアと失礼極まる勝手な突っ込みが、現在の文化やら社会やらの本質を暴く鋭い洞察になっていたりするからあなどれない。

ちなみに、本書で松尾氏にもてあそばれた日本人は、益子直美、飯島愛、可愛かずみ、酒鬼薔薇聖斗、テリー伊藤、坂井泉水、哀川翔、ドロンズ、知念里奈、松本人志、林葉直子、裕木奈江、草壁竜次(ドクター・キリコ)、石井苗子。すでに表舞台やこの世から消え去った人もいて、若い人は「いったい誰じゃ?!」って感じかも。キャラを知っている年代なら、松尾スズキの切り刻み方にスゴ~く共感するよっ!

また、文中に次々と登場する有名人(?)の名前は青字になっていて、タップすると巻末の注釈に飛んでプロフィールがわかるしかけ。ワンタッチで行ったり来たりしながら重層的に読書が楽しめるのは、電子ブックならではの軽快感だ。

松尾スズキが俎上に載せた面々は、当時、いろんな意味でどこか気になる人たちだった。そのニュアンスがハチャメチャな脱線文章からきちんと伝わってくるからおかしい。あれから十数年、飯島愛も坂井泉水もこの世にいない

林葉直子と哀川翔は、なぜか小説仕立てで登場。フィクションだけど、いかにも「らしく」て笑えます。あとがきで、自分自身も解剖。私はこれがいちばんおもしろかった!

青字の固有名詞をタップすると、巻末の注釈ページに飛んで、どんな人物なのか、プロフィールが即、わかる。といってもこのプロフィールがクセモノで…

これが注釈ページ。ものすごく偏向した情報で、でも言い得て妙で、こちらも笑えます。ちなみにこの注釈は、大人計画の役者であり、ミュージシャン、作家としても活躍する宮崎吐夢が書いている