もろくて強い、幼いのに、早熟――少年少女たちの強烈な痛みと絆
更新日:2012/2/3
高3、受験を控えたある雪の日、 いつもどおりに登校したはずの深月たちは、 学校にいるのが自分たち8人だけだということに気づく。 さらには学校からも、出られなくなっていた…。
そして思い出したのは、 学園祭のさなかに自殺した同級生。 誰も思いだせない、その人物の名前。 これはその同級生の復讐なのか。 その人の中に閉じ込められたのか、 なんのために――?
という、学園が舞台の青春ミステリです。 8人の感情が、それぞれに独白されていき、 関係性や、抱えている闇、 疑心、愛情、嫉妬、優しさ、 それらが混乱のままに走り出し、 真相へと向かいます。
自意識全開にもなりきれず、 客観的に自分を認識しながら、 大人にもなりきれない。 理屈と感情がちぐはぐで、 冷静に客観になろうとするほどに混乱する、 その感覚が個人的にはとてもなつかしかったです。
そして誰もが一度は通り抜けたことのある、 うっかり落ちて行ってしまいそうな心の穴、 隙間みたいなものと、 そこをふみこえる強さ、みたいなものが、 8人のキャラクターを描き分けることで 絶妙に表現されています。 むずかしいこと考えずに、 青春劇としても楽しめます。
この小説、運びがうまいので、止まりません。 書籍で最初、刊行された時は上中下だったのですが、 上巻しか買わなかったため、 夜中にあいている本屋を探して走った記憶が。
『死ねばいいのに』もそうでしたが、 ぐいぐい引き込まれるミステリー仕立ての小説や、 ボリュームのある、巻数の分かれている小説は、 電子書籍に向いているような気がします。 ちょ、ちょっとお願いだからこの続き! と過去の私のよう地団太をふまずにすみますので。
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