1970年にベストセラーとなった、ソビエト「プラウダ」の記者が書いた日本人論

2011/3/9

一枝の桜 - 日本人とはなにか

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:フセワロード・オフチンニコフ 価格:486円

※最新の価格はストアでご確認ください。

「日本人とは何か」という壮大なテーマを掲げたこの本を、ダウンロードしないではいられなかった。外国人の目に日本人がどのように映っているのか、とても興味がある。そして、この本はその期待にとてもよく応えてくれた。

著者はブレジネフ時代のソビエトからやってきた「プラウダ」の記者ということで、共産主義のフィルターのかかった偏った日本人像が語られるのでは、と思ったが、実に公平な眼で、日本人と日本人社会、日本文化の観察しており、その的確な描写と深い理解には説得力がある。訳者は「ソ連版『菊と刀』」と表現しているが、まさにそのとおり。
  
外国人の目にはこんなふうに映っているのかと、はっとすることも多かった。
  
たとえば、こんなくだり。
  
「通行人のなかに、あるいは同じ車内に乗り合わせた者に知り合いの者がいない限り、<中略>良心の呵責も感ぜずに、乳飲み子を背負った女を押しのけることもできる。肘と肘を使って、隣にいる者とこづきあいをやるのもかまわない。<中略>日本人の礼儀正しさは個人的関係の面に限られるのであって、社会の一員としての行状にはまったく関係がない」
  
確かにその通りだと、ニューヨークで暮らすようになって思った。東京では電車のドアが開くと、先を争って座ろうとする人をよく見かけた。ところが、ニューヨークの地下鉄ではそういう光景を1度も目にしたことがない。もちろん他人ごとではなく、自分の中にもそういう部分が確かにあることにも気づかされる。日本人に対してこんなことを面と向かって言う外国人はあまりいないが、こんな風に見られているとしたら恥ずかしいことだ。
  
日本人として反省すべき点ばかりを指摘されているわけではなく、外国人から見た日本のすばらしさにも言及している。また、堅苦しい内容ではなく、そこはかとなく品のいいユーモアも感じられて楽しく読めるので、こういうテーマに興味がある人にはお勧めしたい。

筆者はソビエト人ジャーナリストで、「プラウダ」の特派員。この本は1971年にソビエト人読者のために書かれた

目次を見ただけでも、本書が単なる日本体験記ではないことがわかる。40年前、日本はソビエト人記者の目にどのように映っていたのか

自分のことはわかっているようでわからないように、日本人のことは日本人には見えにくく、外国人の目を通して発見できることも多い。そんなことが感じられる目次立てだ