2022年「ひとり暮らし社会」が本格化、2039年には深刻な火葬場不足!? 人口減少日本でこれから起きること

社会

2017/6/16

『未来の年表 —人口減少日本でこれから起きること(講談社現代新書)』(河合雅司/講談社)

 近頃は地方都市だけでなく東京通勤圏のベッドタウンでも、道行く人に高齢者が多かったり、商店街にはデイケアや訪問看護の施設が目立ったりするようになってきた。一方、かつては若いフリーターの受け皿だった都心のコンビニや外食チェーンでは、店員が外国人というのもよくある風景だ。「日本は世界でトップクラスの少子高齢社会」といわれて久しいが、そんな日常のひとときに「少子高齢化による労働者不足」という現実をみせつけられる。

 社会では子育て支援や男女の出会いの場づくり、女性や外国人の活用などさまざまな対策や取り組みが行われているが、どうやら現実はそんなに甘いものではないらしい。というか、もっとちゃんと考えないと超ヤバいことになる…『未来の年表 —人口減少日本でこれから起きること(講談社現代新書)』(河合雅司/講談社)は、私たちの呑気な頭にガツンと衝撃を与える一冊だ。

 本書では人口減少社会の近未来の日本がどうなるのか、年次カレンダー形式で克明に描き出す。2017年現在の「おばあちゃん大国になる」(女性の3人に一人は高齢者になる)から2065年の「外国が無人の国土を我が物顔にする」(約20%の居住地域が無人に。外国人の占有もあり得る)まで、官公庁の統計等のデータをもとにした未来図は、「ノストラダムスの大予言」よろしく胸にキリキリと迫る。が、事態はフィクションではない。

 たとえば、2020年のオリンピック頃の日本の状況はこうだ。

2020年 女性の2人に1人が50歳以上になる
出産可能年齢を15〜49歳とした場合、この年に50歳以上の人口の総数がそれ以下の年齢層の人口を追い抜く。人口比に対し、絶対的な出産件数の縮小が予想される。

2021年 介護離職が大量発生する
データによれば親の介護開始年齢は50歳が目安。団塊ジュニアの第一世代が50 歳を迎えるが、未婚率も高く介護をひとりで背負うケースが多発。離職を選ばざるをえず、そのまま社会復帰できずに生活保護のケースも。

2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
団塊世代の先頭である1947年生まれが75歳となり、配偶者と死別してひとり暮らしとなる人の増加が本格化。未婚者の増加、離婚の増加も予測され、ひとり暮らし世帯の激増を織り込んでいない社会保障制度はピンチに。

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
労働力人口が減るために生産性がおちる一方で、団塊ジュニア世代が50代となりポストも不足。労働力人口の高齢化もすすみ、人件費がピークを迎える。

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
団塊世代が全員75 歳となり、国民の6人に1人は75 歳以上に。毎年の死亡者数は出生数の2倍で人口の減少はとまらず、老老介護ものしかかる。

2025年 ついに東京都も人口減少へ
団塊世代の高齢化による自然減もあり東京も人口減へ。ただし東京で働く子供をたよって流入する高齢者も目立ちはじめ、医療機関や福祉施設の不足が深刻になる。

 …以上、華やかなオリンピックの陰で、たった5年でも悪化の一途。暗い予測はまだまだ続き、2030年には地方から百貨店も銀行も老人ホームも消え、2039年には深刻な火葬場不足に陥り、2042年には高齢者人口が約4000万人とピークを迎えるという。

 人口問題は知らないうちに現実を蝕む「静かなる有事」であり、気がつけば手遅れという事態にならないとも限らない。シビアさに背筋がゾっとするが、だからこそ直視して、対策を考えなければならない。本書の第2部には「日本を救う10の処方箋」として大胆なアイディアが示されているが、著者だけではなく私たち一人一人が、過去に囚われない自由な発想で戦略的に縮む道を考える必要があるだろう。

 ちなみに著者は、かつてゲストで招かれた中高生討論会の現場で聞いた「大人たちは何かを私たちに隠している」という女子中学生の発言に背中を押され、本書を書いたという。巻末には「未来の君たちへ」と題した中高生や大学生へのメッセージも記されているが、裏を返せばそれは、社会を動かしている現役世代へのメッセージでもある。社会のツケを次世代にまわしてばかりでいいわけがない。まずは来るべき未来から目を背けず、「自分の問題」として捉えることから始めよう。

文=荒井理恵