ホテルオークラ元総料理長の夫と料理家の妻。食を極めたふたりの“普段のごはん”

食・料理

更新日:2018/2/26

『夫はホテルオークラ元総料理長、妻は料理家 ふたりのごはん』(根岸規雄、石原洋子/KADOKAWA)

 ホテルオークラ元総料理長・根岸規雄と、テレビでもお馴染みの料理家・石原洋子夫妻のふだんのごはんを紹介する『夫はホテルオークラ元総料理長、妻は料理家 ふたりのごはん』が、2018年1月25日(木)に発売され、1週間でたちまち重版と話題だ。

 本書は食を極めたふたりの朝昼晩ごはん全50品を春夏秋冬の季節を追って撮影したもので、出来上がり写真だけでなく、材料と作り方まで惜しみなく教えてくれる。読者も一流の味を家庭で作れると評判になっている。

 たとえば、根岸規雄がオークラのシェフ時代に世界一と言われたフレンチトーストが、ふたりの食卓に上がる日がある。さぞや高級パンを使っているだろうと思いきや、普通の4枚切り食パンだ。牛乳と砂糖を加えた卵液に、冷蔵庫で一晩つけておき、翌朝焼く。この本の通りに作れば、伝説の味になる。
 長ネギの青い部分を捨てずに生かす料理(ねぎベーゼ)の考案など、食材を使い切る知恵にも驚く。

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「現役時代は家で料理する時間がなかった」という根岸だが、今や根岸の作る朝食は、野菜スープからコールスローサラダまでふたりの定番となっている。一度に仕込むため、鍛え上げた包丁さばきで一気に野菜を切る姿はグランシェフそのままだ。

 石原洋子は、「きょうの料理」(NHK)や「キユーピー3分クッキング」(日テレ)などテレビでお馴染みの料理家。特に和と中華のおかずに定評がある。その味をそのまま、ふだんの料理でも手際よく作り、春はたけのこ、夏はなす、秋は鮭、冬の大根と、旬の食材をいろいろ料理して使い切る。
 近所に住む孫には、から揚げや中華おこわ、はるさめサラダが人気だという。

 ワインのつまみもふたりの手にかかると、グリーンアスパラのパイロール焼き、チキンレバーのムースなど、しゃれた味わいのものが並ぶ。


 経験を積んだシェフと料理家ならではの季節の保存食作りも真似したい。梅干し、切干大根、ルバーブのジャム、きのこのソテーなど、作っておけば旬の恵みを長く楽しめるだけでなく、料理にも使えて便利な作りおきだ。



「手作りは高級品にまさる。年を重ねた今だから、台所で一緒に肉を焼き、出来立てをふたりで食べる。そんな日々の幸せに心から感謝をしています」(根岸)
「毎日食べてあきない料理こそ、健康の源です」(石原)
 本当に豊かな暮らしの原点を教えてくれる本だ。

根岸規雄(ねぎしのりお)
1941年、埼玉県生まれ。東京YMCA国際ホテル専門学校卒業後、ホテルオークラ東京の料理人に。開業以来50年にわたり腕をふるい、第四代総料理長(2001~2009年)を務める。フランス農事功労章シュバリエ受章。現代の名工受章。学校法人北陸学園理事。著書は『ホテルオークラ総料理長の美食帖』(新潮新書)。

石原洋子(いしはらひろこ) 
料理研究家。自由学園に学ぶ。卒業後は、家庭料理、中国料理、フランス料理など各分野の第一人者に学び、料理家のアシスタントを務めたのち独立。自宅で開く料理教室は40年以上になる。確かな技術に基づく指導に定評があり、テレビや雑誌などで活躍中。著書は『本当は秘密にしたい料理教室のベストレシピ』(朝日新聞出版)ほか多数あり。