2053年にはとうとう1億人以下に!? 人口減少が進むと日本はどうなるのか?

社会

公開日:2018/2/21

『驚愕! 日本の未来年表(エイムック 3899)』(エイ出版社編集部/エイ出版社)

「人は宝だ」とあらゆる組織がいう。それは国単位でも同じだ。日本は人口問題で危機的状況にある、と至るところで聞くが、具体的には何年後に人口がどの程度減少し、社会がどのように変化していくのだろうか。

『驚愕! 日本の未来年表(エイムック 3899)』(エイ出版社編集部/エイ出版社)は、年表形式でわかりやすく日本の未来を予見している。人口問題にフォーカスして見ていきたい。

 先進国においては、1人の女性が生涯に産む子どもの数が2.07人であれば、人口推移は静止する。2.00でないのは、乳児死亡の可能性などがあるため。団塊の世代は第一次ベビーブームの時期に生まれており、このときは女性1人当たりの出生数は4.50人。これが年々減少し、2015年には1.45となっている。

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 本書によると、人口問題の未来は2025年、2030年、2040年、2050年に大きな節目を迎える。

2025年問題
65歳以上の高齢者が人口の約1/3に、75歳以上の後期高齢者が1/5という超高齢化社会が到来する。

 本書は、高齢者の医療費増大やベッド数の不足が社会問題になると予見している。

2030年問題
現代社会はIT技術抜きには語れないのだが、その発展、維持に不可欠なIT技術者も不足するとされる。

現在でも17万人が不足しているとされ、2030年には79万人もの人材不足に陥るとの試算を経済産業省が出している。

 このため、2030年代を担う人材の育成と確保が重要な問題になると予見している。本書は、この頃に生産年齢の終わりに差し掛かる団塊ジュニア世代の有効活用がテーマになる、としている。

2040年問題

女性が、どれだけ子どもを持つかどうかですべてが変わる局面になるのだ。

多様性を保つ意味でも、子どもを持たないという価値観は尊重されて当然だ。それでも、出生率が回復するためには、3人以上産んでも、晩婚であっても、シングルであっても、子育て可能な社会を作ることが今の時点で必要といえる。

 この頃に出生率が回復しなければ、小がさらなる小を生じ、加速度的に人口が減少してしまう、という。

2050年問題

2053年にはとうとう1億人を割り込んでしまう。たとえ出生率が回復しても、これは起こることだ。

後期高齢者の人口を担いで世代の人口で割ると、2015年は4人で1人を担う計算だが、2025年は3人で1人を、2050年では2人で1人を担うことになる。

 人口1億人以下になると、国内向けのモノづくりに限界が来る。日本企業が国内向けに製造しても、1億人以下の人口では国内だけでペイできないため、モノづくりの根本の変化が求められる、という。誰に売るか、どこに売るかの方向転換が必須になる、と本書は予見している。

 人口増加期は子どもが成長して生産年齢人口が増加するため、経済成長が進みやすい。これを人口ボーナス期という。反対に、人口減少期は生産年齢人口が減り、経済成長を阻害する。人口オーナス期という。

 本書によると歴史上、人口停滞期には必ず、次のステージへの準備が進んでいた。自然界にある食物に頼り一定のエリアからしか採取できなかった縄文時代では、後期に食料植物の栽培が始まり、命が多く失われる戦国時代には検地によって小作の生活が安定して皆婚化が進み、開墾が限界点に達して人口停滞した江戸時代後期には、明治維新以降の産業化で人口が伸び続けた。

 近年で見ると、第一次ベビーブームは1940年代後半、第二次ベビーブームが1970年代前半で、だいたい25年周期となるため、おおむね2000年前後に第三次ベビーブームが起こってもおかしくなかったところが、その担い手となる団塊ジュニア世代はバブル崩壊のあおりを受けて、経済的不安定さからベビーブームを起こせなかったことが、手痛い出来事だったと本書。巻末では、人口減という危機を次の飛躍の準備にするという日本社会の意思が求められる、と締めている。

文=ルートつつみ