倫理は本当に「学ばなくても困ることはほぼ無い」学問? 大人にこそ読んでほしい異色の倫理マンガ

アニメ・マンガ

2018/2/24


「学ばなくても 困ることは ほぼ無い」(!!!)
倫理という学問をそう評しながらも、教師・高柳は授業で真剣に生徒に語りかける。

授業外でも、問題やトラブルを抱える生徒たちに対して、高柳は倫理の力と誠意をもって応えようとする。その言葉に、生徒たちは少しずつ心を開き、自分自身を見つめなおしていく。

“嫌煙家vs愛煙家”の対立すらも、深い意味をもつ授業となる。

飛び降り自殺を図るほど絶望した生徒の気持ちにも、全力で寄り添う。

高柳の授業は今日も続く。
「倫理の時間に会いましょう」

 本作は倫理の教師が高校生に語りかける、という内容で進んでいくが、大人にこそ勧めたい。
 大人にもなれば、多かれ少なかれ、誰もが人間関係や自分の生きる意味を考えたり悩んだりしたことがあると思う。
 10代の時には理解が難しかったことも、ある程度人生経験を積んだ今同じことを聞けば、腹の落ち具合がかなり違うはずだ。

 主人公・高柳は、高名な哲学者たちの言葉を交えながら、生徒が抱える不安がどこから来るのか、そしてそれにどう向き合うべきなのか、誠実さをもって一人一人に寄り添い言葉を交わしていく。
 ただ「大丈夫」と言うだけではなく、真剣かつ論理的な言葉は、圧倒的納得感!

 これが新時代の教師の物語なのかもしれない。高柳は熱血漢ではないし、元ヤンでもない。
 教師として持つ武器は“対話力”。さらに、生徒に教えるのは正解ではなくて、道の歩き方である。道を選んで進むのは生徒本人だ。
 だからこそ、読み手も生徒の立場を自分に置き換えて共感しながら読むことができる。

 本作はアニメ化もされたラグビー漫画『ALL OUT!!』と同著者の雨瀬シオリ先生の作品である。
 なぜ今回は倫理をテーマに?と驚くが、巻末のあとがきを読めば先生の本作への思いと、そして高柳の言葉の存在感の理由も、全てに納得する。
 本編だけではなく、このあとがきも絶対に読んでほしい。



ここは今から倫理です。
レーベル:ヤングジャンプコミックスDIGITAL
出版社:集英社
著者:雨瀬シオリ

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