パンダがこんなに特別扱いされるのはなぜ? 黒柳徹子の『読むパンダ』

エンタメ

2018/2/25

『読むパンダ』(黒柳徹子/白水社)

♪ パンダ・パパンダ・コパンダ! パンダ・パパンダ・コパンダ!

 思わず歌いだしてしまいましたが、パンダですよ、パンダ。

 昭和どまんなか世代より気持ち若い自分にとって、パンダと言えばランランカンカン。「日本にパンダがやって来た!」という時代の熱狂の波に、当時、確かにノリました。日中国交正常化記念パンダ切手とかいうシロモノも、新聞の広告で見て勝手に申し込み、親に怒られた記憶も(××名限定抽選と書いてあったので無料と勘違いした)、今や懐かしい。

 しかし哺乳類なんて、4000種以上もいるのに、パンダがこんなに特別扱いされて可愛がられるのは何故なのか。実際問題、そんなに可愛いのか、パンダは。いや、実は陰険な目つきをしているのは、『らんま1/2』に登場する早乙女玄馬を見れば分かるじゃないですか。水かぶらないと古田新太だし。背脂にシングルファーザーの哀愁背負ってるし。別のパンダの「ささひと」さんはどうしようもない巨乳好きの鬼畜だし。あの顔はむっつり助平で陰険なのは分かるじゃないですか。

 でも、シャンシャンの初日観覧申し込みは約1万8300組で、倍率は約40倍。どうしてみんな、こんなにパンダが好きなのかなあ。自分も好きだけど。

 この『読むパンダ』(白水社)を読めば、そんな疑問が一気氷解! ってことは全くありません。むしろ逆に、パンダメイクで世間の度肝を抜いた黒柳徹子さん(日本パンダ保護協会名誉会長)や、2011年8月14日から、2000日連続でパンダを観に上野動物園に通った自称・パンダウォッチャーの高氏さんとか、四川大地震でパンダを救うべく、30キロの子パンダを抱えて走り回った自称・パンダ人(中国の飼育研究員)の張さんとか、パンダの死体と語り合い、第7の指という生物学上の偉大な発見を成し遂げた「解剖男」こと東京大学総合研究博物館教授の遠藤先生など、パンダ愛ほとばしる濃すぎるメンツの暴走ぶりを見せ付けられ、疑問はさらにいや増すばかり。みんなどうしてそこまでパンダが好きなのよ……!!!!!!!!!

 毎年、干支の12動物をないがしろにして年賀状にパンダの絵を描いてる作家の出久根達郎さんとか、自分の小説のファンじゃない人に「そのパンダ賀状欲しい」ってお願いされて、送っちゃっているんですよ。作家なのに、自分の作品よりもパンダ賀状……。それでも怒らないあたり、パンダマジックでしょうか。

 考えてみれば、発情期までニュースになる動物って、パンダぐらいのもんじゃないでしょうか。そして、無事に妊娠すれば国を挙げて喜ぶ。子パンダの性別が分かればまた大喜び。この熱狂ぶりは一体……。謎だ。

 この本も、パンダについての本というより、パンダに狂わされた人たちの本、みたいな感じですよ。読めば読むほど、珍獣パンダの魅力の奥深さにさらに謎は深まるばかりなんですよ。ちなみに、「たれぱんだ」ってパンダじゃないって知ってましたか。この本で初めて知ったよ。じゃあ何なのか知りたい人は是非一読を。

文=ガンガーラ田津美