未来に生き残る会社の条件は「AIとの共存」 人工知能は“良い同僚”になるか?

ビジネス

2018/4/10

『人工知能時代に生き残る会社は、ここが違う!』(ジョシュ・サリヴァン、アンジェラ・ズタヴァーン:著、尼丁千津子:訳/集英社)

 人工知能(AI)の進化が著しい。AIはいまや将棋・囲碁のプロを負かし、某携帯電話ショップの店員を務め、そして、作った小説がSF文学賞の一次選考を突破するなど、様々な分野でAIの可能性が見出されている。

 このままでは、棋士・店員・小説家といった職業に人はいらなくなるかもしれない。悲しいことに、この記事を書いている私のようなライターという職業も、不要になる日が来る可能性は十分ある。今、まさに人間と人工知能との付き合い方が変わる転換期に差し掛かっているのだろう。未来に生き残る会社の条件は「AIとの共存」 人工知能は“良い同僚”になるか?

 人工知能は人間にとって敵なのか。それとも、我々の生活をよりよいものにしてくれる救世主となりうるのか。そう考える際のヒントを提示するのが『人工知能時代に生き残る会社は、ここが違う!』(ジョシュ・サリヴァン、アンジェラ・ズタヴァーン:著、尼丁千津子:訳/集英社)だ。本書では現在、人工知能を有効活用している企業・組織の例を挙げて、人工知能ができることと、人工知能にできず私たち人間にしかできないことを解説している。

■人間とAIの共存を考える際に、整理しておきたいこと

 人間はいかに多くの情報を記憶するかが求められ、知識があればあるほど重用された時代もあった。しかし、人間よりも正確でたくさんの記憶ができるコンピューターが登場したことによって状況は一変する。

 コンピューターの利用で膨大な情報をストックできるようになったものの、そこから人間が有効活用できるのはほんの一部。そこで人工知能の出番が訪れる。一見、役に立つのかわからない複雑な情報を組み合わせ、今まで解決できなかった問題の光明を見出すことができるようになったということだ。

 今後、人工知能の活躍の場が広がる。それが、人間が不要になることにつながるかというと、そうではない。人間・人工知能それぞれにできること、できないことが存在する、と本書では述べられている。
 人間が優れているのは次の5つ。

「想像」「創造」「演繹的推論」「帰納的推論」「問題解決手法の構築」

 逆に人工知能が優れている点を整理すると、

「言語の理解と言語による表現」「詳細や規則性の把握」「数値演算処理」「記憶」「情報の記録と整理」

 が挙げられる。このそれぞれの特性を理解し、得意分野を人工知能にお任せすることで、人間の持つ得意分野を存分に生かすことができる。

■職場でのポストをAIに奪われる可能性はどれくらいある?

 本書では製薬会社が副作用の調査をしたり、ホテルが集客戦略に利用したりと、人工知能を有効活用している興味深い実例が挙げられている。今後は、「人間だけ」でも「人工知能だけ」でもなく、「共存すること」で新たな発見やより良いサービスの提供が可能になる、そんな輝かしい未来へのヒントを見つけることができるだろう。

 本書で述べられている人工知能の影響力は、コンピューターが登場し、私たちの生活に普及した際の価値観の変化に匹敵するだろう。いや、もしかしたらそれ以上の衝撃かもしれない。それだけに、今漫然と目の前の仕事をこなしているだけでは、気付いたときには職場に居場所がない、なんてことも十分考えられる。あなたが会社やチームの舵取りをするリーダーであるなしに拘らず、今のうちに人工知能との付き合い方をじっくり考えてみる必要がありそうだ。

文=冴島友貴