「優先順位を考えろ」と言うだけじゃダメ? いやな上司にならないために必要なこと
2018/5/28

仕事をする上で、業務内容と並んで大事なのが職場の人間関係だ。特に上司との相性が悪いと時には仕事そのものに影響が出るほどの大問題になる。上司の人柄は、業務内容とは直接関係ないはずなのに、仕事をする上では非常に重要なのだ。なかには「部下を潰したいのか?」と言いたくなるような上司も存在する。そんな上司は、なぜ問題なのか? そして、自分がそんな上司にならないためには何が必要なのか? それを紹介してくれるのが『心を折る上司』(見波利幸/KADOKAWA)である。
たとえば「優先順位を考えろ」である。これは上司が部下に言う常套句のひとつではないだろうか。確かに、社会人として業務の優先順位を考えることは大事だ。基礎能力と言ってもいい。しかし、果たして「優先順位を考えろ」は業務命令となっているだろうか。もっと言えば、具体的な指示になっているのか、だ。答えはNOである。「優先順位を考えろ」の後ろに「たとえばこの仕事はこうだから後、こっちの仕事は先に」といった具合に具体的な指示があるのであればともかく、最初の一言で終わってしまっているのなら要注意である。「優先順位を考えろ」は、いわば「交通ルールを守りましょう」と言うようなものだ。確かに大事なことだが、そのためにどうすればいいか、という部分が見事に欠落している。「子どもじゃないのだからそれくらい自分で考えればいいじゃないか」と思うだろうか。しかし、仕事においては誰もが最初は素人、つまり子ども同然のところからのスタートだ。「仕事の仕方は教えない、しかし覚えろ」というのは、おそらく多くの人が理不尽だと思うのではないだろうか。つまり「優先順位を考えろ」としか言わない上司の問題点は、まず具体的な指示が出せていない点が挙げられるだろう。
また、仕事というのは予想外のトラブルが起こることもある。その場合、当然トラブルの解決が優先順位の最上位に来るだろう。そして、そのトラブルが長引いたり、連鎖的に次々別の問題が出てきたりする場合は、本来の優先順位に戻ることがなかなかできない。そういった状況が続いた場合、本来優先順位の上位にあった仕事が期日までにできない場合もあるだろう。本書では、まさにそういった状況で期日を過ぎてしまったケースが紹介されているが、このケースでは上司はトラブルが起きたことを把握しておらず、ただ「期日が過ぎたのに仕事ができてない」という事実のみを見て部下を叱責した。この場合の問題はどこにあるだろうか。トラブルをきちんと報告しなかった部下にある、と考える人も居るだろう。しかし、上司が部下の携わる仕事で起きたトラブルについて把握していない、また把握できる体制を作っていないということは問題ではないだろうか。こちらの答えもNOである。では、この場合上司はどのように対応するのが適切だったのか。本書曰く、まず仕事を依頼するときは、部下が現在どれくらいの仕事を抱えているかを把握し、その上で依頼する仕事をこなせる余地があるかを確認し、その上でスケジュールをすりあわせる必要があったという。また、依頼した後も、期日まで放ったらかしにしておくのではなく、こまめに進捗を確認しておけばトラブルについても把握できただろう。つまるところ、部下とのコミュニケーションが適切にできていないことがこの場合の最大の問題点だということだ。
では、先述の例にとったような上司にならないためには何が必要だろうか。その基本となるのは、自分のマネジメントを疑うことだ。たまに「自分は絶対に間違っていない」という人も居るが、傍から見たとき、そういう人にどういう感想を抱くか考えてみよう。大半の場合は「いやそんなわけないだろう」となるのではないだろうか。それは、自分の場合も同じである。自分を常に疑うことで、他者の意見を柔軟に受け入れることも、頭ごなしな部下への叱責を避けることもできる。そのため、このことがまず何よりも肝要だと言えるだろう。もちろん、自分のスキルなどを磨くことや、自身の健康管理も大事だ。やはり、人間は自分に自信がなかったり、体調が悪かったりすると正常な判断が下せない。部下を持つ立場なら尚更、これらは気にかけるべき項目だと言えるだろう。ちなみに、本書には「理想の上司度チェック」という診断も載っているので、部下がいる立場の人は参考にしてみるといいかもしれない。
文=柚兎
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