霞ヶ浦では今宵も英霊がうごめく…。「怪談」魅力度ならトップクラス!? 茨城の怖い話

文芸・カルチャー

2018/8/18

『茨城の怖い話』(寺井広樹・一銀海生/TOブックス)

「都道府県魅力度ランキング最下位」とよくネタにされる茨城県。筆者は実際に茨城県南部に移住した身なのだが、いざ住んでみるとそこがたくさんの魅力に溢れていることを知った。窓から見える筑波山、琵琶湖に次ぐ面積を誇る霞ヶ浦、どこまでも広がる蓮畑。都内へもわりと気軽に出られる距離にありながら、これほどの自然に囲まれたスローライフを満喫できる環境は実に素晴らしい。

 そんな隠れ魅力スポット茨城。実は「怪談」の魅力度もかなり高い方なのだとか。「霞ヶ浦には特攻隊員の霊が現れる」と帯に掲げる茨城の怪談本、『茨城の怖い話』(寺井広樹・一銀海生/TOブックス)では、茨城と心霊の関係は以下のように語られる。

平将門の乱、笠間山、筑波山、天狗党の乱、特攻隊、空襲、常磐線、地震、津波。
茨城の様々な歴史の中で多くの人が命を落としてきた。
そして凶悪事件に迷宮入りの事件も起きた。
闘い合った者達の怨霊と魂の精神は、まだこの地では眠らない。

 やはり怪談の怖さを引き立たせるのは、その「土地」の歴史や地理的要因に他ならないだろう。茨城の各地域に特化した怪談には、県民はもちろんのこと、すべての人を震えさせるだけの生々しい恐怖がある。そんな本書の怪談を、一部ではあるが以下にご紹介したい。

■特攻隊の歴史——阿見町・予科練平和記念館

 稲敷郡阿見町には大正時代末期、東洋一の航空基地といわれた霞ヶ浦海軍航空隊が設置され、そこから多くの若い特攻隊員が飛び立った。その跡地とその周辺には現在、陸上自衛隊土浦駐屯地があり、その隣に予科練平和祈念館という施設がある。

 戦争遺産の取材でそこを訪れた女性記者と、同行した海軍とゼロ戦マニアの雑誌記者の安田という男の話が本書には収録されている。戦争遺産に興奮するあまり、少々無礼な行動に出てしまう安田は、帰り道の車内で意識が朦朧とし始める。そして翌朝彼は、事故車両とともに変わり果てた姿で発見される。女性記者の携帯に入っていた安田からの留守電には、「ツー。ツー」という航空機からのモールス信号のような音が…。

■事故死した人に招かれる―つくば市・筑波山

 筑波山の道はカーブが多く、車好きには人気のドライブスポットだ。登山客やケーブルカーで賑わう昼間とは違い、夜の筑波山は不気味な闇の世界に覆われる。

 少し前の時代、ここでは命知らずのスピード狂が何人も事故を起こして命を落としている。そんな山道を夜走行すると、事故死した人々が手招きをして“あっちの世界”へと引き寄せるのだとか。本書に収録されている体験談は、助手席に乗ったガールフレンドに霊が憑りつき、あやうく2人で死にかけたという話だ。

 また、筑波山には歴史的にも不思議なことがあったという記録が多く残っているのだとか。江戸時代にはUFOらしき金属物の飛来と宇宙人らしき天女のようなものが降り立ったという伝説があるという。筑波山には何かを引きつける磁気のようなものがあるのか、同じ場所で事故や自殺が連続することもあるそうだ。

 本書にはその他にも、水戸の有名な廃墟や、土浦の慰霊碑、日立市の杉、国道6号線の魔物など、茨城にまつわる生々しい怪談が多く収録されている。実際に訪れることのできる場所も多く紹介されているため、怪談マニアにはたまらない内容だ。

 また、本書のシリーズでは他にも、神奈川、沖縄、福岡、広島などの怪談も発刊されている。ぜひご自身にゆかりのある土地の怪談を手に取り、リアルな恐怖を味わっていただきたい。

文=K(稲)