子どもの自己肯定感を高めるには? 必要なのはちょっとした会話のコツだった

出産・子育て

公開日:2018/10/4

『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(天野ひかり/サンクチュアリ出版)

 みなさんは子どもに対して注意をする際に、頭ごなしに「○○しなさい!」、「××しちゃダメ!」と𠮟りつけてはいないだろうか。そうしてしまっては子どもの自己肯定感はなかなか育たない。多くの育児本で唱えられていることだが、育児においては子どもの自己肯定感を最大限に引き出すことも大切だ。

『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(天野ひかり/サンクチュアリ出版)には、会話の前に知っておきたいことやシーン別会話の仕方を中心に、子どもの自己肯定感を上手に育みつつ、子どもとのコミュニケーションを円滑にする方法がぎっしり詰まっている。

■子どもの気持ちを言葉に置き換えて会話する

 子どもに何かをさせたいと思っているときに、子どもが「やりたくない!」と駄々をこねて聞かないという経験をしたことがある方も多いのではないだろうか。

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 実は、子どもの「やりたくない!」にはバリエーションがあるのだという。それは「今はやりたくないけど、ママがやったら、ぼくもやりたい」とか「やりたいけど、みんなの前ではやりたくない」、「1回だけならいいけど、ずっとはやりたくない」といったものだ。

 幼い子どもにはまだ、“なぜ”やりたくないのかの理由の部分をきちんと説明できるほどの語彙力がないから「やりたくない!」のひとことに集約されてしまうのだ。

 そこでお母さん・お父さんが子どもの気持ちを推し量りつつ、言葉に置き換えていくことが大切なのだという。「今はやりたくないのかな? あとでやってみようか」とか「ずっとは嫌だったよね?」といった具合に声をかけてみてほしい。

■飲食店や電車の中などで騒いだら、いったんそれを認めてあげる

 子どもはうちにいるときに「やりたくない!」と駄々をこねるだけでなく、外出先ではしゃぎまわってしまうことがしばしばある。そんなときに「走らないで!」、「静かにしなさい」といった声掛けをするのはNGだ。

 子どもは元気があり余っていて、はしゃいでしまうのは仕方のないこと。そういうときには「○○ちゃん、元気いっぱいでいいね! でもここは△△するところだから静かにしようね」と、いったん子どもの元気を認めてあげてから優しくたしなめるのがポイントだ。子どもを認めつつ、騒いではいけない理由を示しながら声をかけることで、子どもも納得して騒ぐのをやめられるからだ。

 ただし、命にかかわる危険があるときは別である。交通量の多い道路の近くや駐車場などで走りまわっている場合には、間を置かずに「走るな!」と注意することが重要である。こういうときに、理由を示しながらたしなめていると事故に巻き込まれてしまう恐れがあるからなのはお分かりだろう。

 こうして緩急をつけて注意することで、子どものほうも「何でもかんでも頭ごなしに叱られているのではない」ということをきちんと理解してくれるはずである。

 子どもと向き合うことというのは試行錯誤の連続である。もし本書に書かれていることが多少うまくいかなかったとしても、ご自身のお子さんと本書に掲載されている例とは何が異なるのかを自分なりに考えて、アレンジしてほしい。

文=ムラカミ ハヤト