子育てに協力しないパパにも読んでほしい! 父親目線の育児コミックまとめ

アニメ・マンガ

2018/10/28

 時にはつらく、時には楽しく、気がつけば幸せ。そんな愛する我が子との日々を描いた、育児漫画の中でも、本稿では、パパの立場で描いた作品を紹介したい。

 今まさに育児にコミットしている張り切りパパ、どうしたらよいのかわからずオロオロするばかりの新米パパ、悩みまくって不安にさいなまれているシリアスパパ、そしてこんなパパと一緒に育児をがんばろうとしているママたちにもぜひ読んでほしい。

■家事と育児にフルコミット! 娘にぞっこんの漫画家パパ

 大人気の育児日記ブログ「イクメンパパはエロ漫画家」(現在は改題)を書籍化したのが『親バカと言われますが、自覚はありません』(丸本チンタ/KADOKAWA)だ。不器用パパ&わんぱく娘の成長日記で、「わがまま娘」のもっちゃんと、「当時ほぼ無職だった」パパチンくん、「仕事をバリバリこなす会社員」ママ。この3人家族の怒濤の毎日が描かれている。

「エロ漫画家(当時)の兼業主夫」というのはかなり特殊かもしれないが、フリーランスの将来への不安の描写や、育児へ前向きにフルコミットしているところなどが共感を得て大人気となっている。もちろん育児にここまでその身を捧げられているパパはそう多くないだろう。ただ丸本氏のように育児を前向きに楽しむことは、全てのパパに必要だと感じた。

 また個人的に共感できたのは、子どもに言うことを聞かせる時に「自分(パパ)と競争させる」という描写だ。親の言うことを聞かせるために、なんとか遊びの延長上にしむける…。これも子育ての「あるある」のひとつだ。

■時にはダークに落ちつつ、まんが親の子育ては続く

 漫画家夫婦・吉田戦車氏と伊藤理佐氏の元に生まれた「にゃーちゃん」。 彼女の成長が父親目線で記録され、独特の間と雰囲気で描かれているのが『まんが親』(吉田戦車/小学館)だ。

 出産から育児が非常にリアルな男性目線で記録されており、娘の笑える「あるある」な描写と、時にはダークになる吉田氏の心情には、多くのパパが共感できるだろう。吉田氏は愛しているはずの妻子から、たまに離れてひとりになりたいと思う。育児真っ最中の筆者もこの部分には心の底から共感できた。

 また本作には妻の伊藤理佐氏のコメントページがあり、ママからパパへのツッコミになっている。さらに伊藤氏の著作『おかあさんの扉』でも、ほぼ同時ににゃーちゃんとの日々が描かれている。夫婦それぞれの見方を読み比べるのも楽しい。

■子育ても子どもも漫画のネタ! 笑える観察4コマ

『よんこまのこ』(重野なおき/竹書房)のパパママもともに漫画家だ。3歳の長男と0歳の長女の成長を4コマフォーマットで「観察」している。基本的には笑える内容で、子育ての「あるある」も満載。重野氏のポジティブに子どもを見る目線は、育児をする喜びにあふれていると感じる。妻・藤島じゅん氏の描き下ろしページも収録されている。

 本作品もまた漫画家(というかフリーランス)のパパが平日午前中から子育てをしている状況などが描かれているのだが、ここはいわゆる多くの会社員パパは想像できないところだろう。たとえば育児休暇などをとって、家事や育児をがんばり、早い時間から子どもと公園に行った時、現実のパパは楽しめるだろうか。

■気弱パパ漫画家の育児奮闘記

 ドラマ化された『忘却のサチコ』や『the山田家』の作者が描いた男目線の育児エッセイ漫画が『はじめて赤ちゃん』(阿部 潤/秋田書店)だ。出版されたのは10年以上前。当時はパパからの育児漫画がほとんどなかったため「エッセイまんが史上初(?)、男目線のリアル育児日記」というキャッチコピーがついていた。

 本作品の魅力は、阿部氏が自分の弱さに素直に向き合っているところ、そして奥さんが大好きなところだ。阿部氏が教育費や生活費を計算して絶望したり、奥さんのお腹が動くのを見て絶句したり、立ち会い出産を断ったり、眠らない赤ちゃんに泣かされる描写に、私はめちゃめちゃ共感できた。

 また「ママ大好きパパ」のこの作品を仲良く読める夫婦には、「産後クライシス」などは起こらないかもしれないと感じた。

■強いこだわりは育児で生かす! 発達障害パパが「プロの父」に

『プロチチ』(逢坂みえこ/講談社)は『永遠の野原』『ベル・エポック』で読者を魅了してきた逢坂氏の男性育児漫画だ。主人公の徳田直は、現在無職で、専業主夫として息子の育児に専念している。彼は「プロの父」として育児することを仕事と捉えることで、これまでにないアイディアが浮かび、特別な感覚が目覚めていく。

 直は「発達障害」として描かれている。生真面目でこだわりだしたら止まらず、対人関係もうまくいかず、仕事ができなかった。こんな自らの立場にとまどい悩んでいたが、こだわりを育児に生かし自信をつけていく。彼自身の成長を、一家の家計を支える編集者の妻が、愛ある目線で見守る部分もほっこりする。育児の厳しさをあたたかみのある世界観で包み込んでいる作品だ。

 本作は発達障害のパパが主人公のフィクションだが、男性の中には、育児や家事をやるなら綿密にやらないと気が済まない主人公に共感できる人も多いだろう。私自身も思い当たるフシがある。ちゃんと正確にやらないと不安になるのだ。「たまにしか育児しないダンナが、その時は無駄に細かくやろうとする」というママ友の嘆きも確かに聞いたことがある。パパは共感できることはもちろん、子どものいるいないにかかわらず楽しめるハートフルな物語だ。誰にでもすすめられる。ちなみに逢坂氏自身の育児エッセイ『育児なし日記vs育児され日記』をあわせて読むのもおすすめだ。

■パパもママもクスッ。ヨチヨチな父が思うこと

 雑誌『赤ちゃんとママ』で約3年間連載されていた「ヨチヨチ父」が書籍化。『もうぬげない』『なつみはなんにでもなれる』などで知られる話題の絵本作家、ヨシタケシンスケ氏が描いたパパ目線の育児エッセイが『ヨチヨチ父 とまどう日々』(ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社)である。こちらは漫画ではないが、番外編として取り上げたい。

「赤ちゃんってサルに見える」「ママっていつもイライラしている」「パパって何か蚊帳の外だな」。こんな育児のトホホな真実や正論を、多くの人が思わずクスッと笑ってしまうゆるいイラストエッセイに仕上げている。

 パパは自分の「あるある」がたっぷりで笑えるだろう。そして「パパってこんな風に考えているんだ」と多くのママも素直に理解できるだろう。出産前のプレママ&パパや、育児子育てでへとへとになっている夫婦にもぜひ読んでほしい。

 いずれの作品もしんどさと楽しさがパパ目線で描かれていて、ママ目線のエッセイとはまた違うおもしろさがある。もし本稿を読んでいるあなたがパパならば、育児と子ども自体のおもしろさが再発見でき、今まで以上に子どもと楽しく接することができるはずだ。

 そしてあなたがママだとしたら、パパの気持ちが理解できるかもしれない(やっぱりイライラはするだろうけど)。ここに挙げた作品は、ぜひ夫婦で読んで楽しんでもらいたい。

文=古林恭