遅刻を繰りかえす、片づけられない… その原因は大人のADHDのせいかも!?

暮らし

2018/10/10

『もしかして、私、大人のADHD? 認知行動療法で「生きづらさ」を解決する』(中島美鈴/光文社)

 皆さんは「大人のADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があるかも」と思ったことがあるだろうか? 筆者はある。そして、あ、やっぱりね…と、確信させてくれたのが『もしかして、私、大人のADHD? 認知行動療法で「生きづらさ」を解決する』(中島美鈴/光文社)だ。

 著者の中島美鈴氏は、認知行動療法を専門とする臨床心理士で、大人のADHD問題の解決に取り組んでいる。ADHDには大きな3つの特徴があるという。

1.集中力が続かず、注意を複数のことに分配できない=不注意
2.落ち着きがなくじっとしていることが苦手=多動性(過活動)
3.思い付いたらすぐ行動してしまう=衝動性

 これまで子ども特有の発達障害と考えられていたADHDが、大人にもあるとわかったのは、2000年に発表された『片づけられない女たち』(サリ・ソルデン/WAVE出版)がきっかけだったという。

 本書は、そんな大人ADHDの症状、原因、診断と治療、対処法、周囲の人ができることなどを、チェックリストや実際のモデルケースを提示しながら、わかりやすく解説してくれる入門書だ。

■まずは、あなたのADHD傾向をチェックしてみよう

 ではまず、下記のチェックリストをやってみよう。

【チェックリスト1】 
□片づけができない
□失くし物や忘れ物が多い
□会議などで貧乏ゆすりなどをしてしまう
□人と話していても別のことが頭に思い浮かんでくる
□思いつきで行動して後悔することがある
□人の話をさえぎって話し出すことがある
※本書内容より構成

 この6項目のリストは、前述の3つの特徴の典型例を2つずつ示したものだ。もし、「ほぼほぼもしくは完璧に当てはまる」という人でもご安心を。これはあくまでもADHD傾向の有無を簡易的に判断するためのもの。「即、治療が必要」というわけではない。

 では、もうひとつチェックリストをやってみよう。

【チェックリスト2】 
□部屋がゴミ屋敷状態で人を呼べない。引っ越しても段ボール状態
□財布、カギ、身分証など大事なものも頻繁に失くす
□ささいなことでキレてしまい人から嫌われることがある
□仕事の〆切や待ち合わせ(プライベート含む)はほぼ遅れてしまう
□すぐにやるべきことがあっても、他のことを始めて先延ばしにする
□上記のことにより、仕事や人間関係に問題が出ている
□上記の問題は把握しているし、改善しようとも思うができずに繰り返す
※本書内容より構成

■ADHDであることに気づくことが改善の第一歩

 こちらも「ほぼほぼ、もしくは完璧に当てはまる」という人は、自分に“おめでとう”と言おう。なぜなら、「抱えていた問題や生きづらさは、性格やダメ人間だからではなく、ADHDが原因だったからなのかも」という、真実と改善に近づくきっかけが得られたかもしれないからだ。

「ADHDを自覚できるか否か」は重要な境目だと著者は記す。自覚できず、「ダメな人間」と卑下ばかりしていても、問題は解決しないばかりかさらに山積みになり、うつ症状などを併発してしまい、人生はさらに生きづらいものになるという。

 ただし、実際の診断はもっと厳密に行われる。そのプロセスは本書に詳しく紹介されているので、まずは本書でADHDの基礎知識を入手することから始めよう。

 では、治療の実際はどうなのか。本書は投薬療法にも触れているが、ここではもっと手軽な「心理教育」を紹介しよう。

 心理教育とは、「自分の病気や障害について、知識や対処法を知ること」だ。ADHDはこの心理教育だけでも多くの部分を改善させられるという。

 本書には全篇を通して、アイさんという30代のADHD女性が登場し、その症状、原因の詳細な分析、心理教育による改善例が提示されている。ちなみにチェックリスト2は、このアイさんの主な症状を箇条書きにしたもの。多くが当てはまっていても改善することは可能だ。ぜひ、本書でアイさんの改善までのプロセスを読んでみてほしい。

 著者によれば、専門家の診断を仰がずに自分でできる「セルフワークブック」(本書にリストが掲載されている)を使うことで改善できることも多いそうだ。

 本書には他にも、大学入学を機に一人暮らしを始めてみて、ライフラインの支払い管理などいろんなことができずに自分のADHDに気づいた女性の事例なども登場する。また、その衝動性などから、「早期に性交渉を行い、若年で妊娠する確率が高い」など、思春期の子どもを持つ親には気になるデータも掲載されている。

 自分にADHDの傾向がなかったとしても、周囲の人や家族のためにも、本書から大人ADHDについて正しい知識を学んでみてはいかがだろうか。

文=ソラアキラ