面接官は“顔”で採用を決めるって本当?…得する顔の印象は何で決まる?

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更新日:2019/4/9

『損する顔 得する顔』(山口真美/朝日新聞出版)

“この世の中に天から与えられた魅力でそのまま人生を突っ走れる人などほとんどいないでしょう。勝ち組になるためにすべきことは演じること。生まれついた顔を変えなくても印象は変えられる”

 書中でこう述べる、顔で損をしないためのヒント満載の1冊が『損する顔 得する顔』(山口真美/朝日新聞出版)です。著者の山口真美氏は、中央大学文学部教授であり心理学、顔・身体学の専門家です。

■「顔」の印象を決める2大要素は「信頼性」と「支配性」

「顔」の印象を決めるポイントとなるのは「信頼性」と「支配性」。支配性の高い顔は男っぽくて大人っぽい顔(優位)、支配性の低い顔とは女っぽくて子どもっぽい顔(劣位)の印象になるため、大人っぽい長い顔の方がリーダーになりやすく、丸顔は幼く見られがちのため格下に見られるといいます。

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 しかし丸顔にはかわいい、親しみがわくという長所があるので、アメリカにおける顔のタイプと裁判結果を調べたところ、軽微な犯罪に限定した話ではありますが、大人っぽい顔と子どもっぽい顔でそれぞれ有利不利があるとの結果が得られたというエピソードが紹介されています。

「信頼性」の印象には、“表情”が強く影響するそうです。怒りのようなネガティブな表情だと信頼性は低く、微笑みのようなポジティブな表情だと信頼性は高まります。

■「女子アナらしい顔」や「銀行員らしい顔」を決める要素とは?

「顔」が大事な場面のひとつとして、就職試験があげられるでしょう。まず履歴書に貼る証明写真は、「信頼性」を演出するために、はっきりした目線で意思を感じさせるようにすること。メイクの仕方も含めて、自己満足ではなく他者の目線を意識した顔を作る必要があります。

 また、面接については、女子アナやキャビンアテンダントなどのように「顔で採用基準を設ける」ことを公にはしていなくても、整った顔立ちの人ばかりが採用されているのでは、と疑う人もいるでしょう。これについて著者は、採用者側が似ている風貌のチームだと、それによるバイアスが生じるのでは、という可能性について触れます。「社員のチームワークや関係を第一に考えた人材を求める場合、既知感による親しみやすさがポイントになるはず」だからです。

 銀行員らしさ、政治家らしさなど、その職業のプロトタイプとマッチした容姿は、初対面の人に安心感をもたらすので、銀行員などは顧客の持つイメージに合わせた方が信頼を得やすいし、デザイナー、新聞記者などの職業でもそれらしい風貌であると交渉が楽に進むこともあるそうです。

■顔の造作にさらに魅力を加えるポイントは「表情」

 本書によると美男美女も、モテて得するということばかりではないようです。そして、なぜだか特別美人でもイケメンでもないのにモテるという人もいて、そこには顔の造作だけでない判断基準があるのだそうです。

 たとえば寅さんは、男性的なゴツい顔で、演劇でいうとヤクザのプロトタイプに当てはまるような風貌です。けれど笑顔や表情に愛嬌が溢れていることで、その印象の“ギャップ”がモテのポイントになるのだそうです。

「遣唐使はイケメンから選ばれた」「妹は姉より美しい、は真実か」「欧米人とアジア人で注目する顔の部分が違う」など、興味深いトピック解説も満載の本書。社会における「顔」の役割を知り、「顔で損をしない」ために読んでおきたい1冊です。

文=泉ゆりこ