『劇場版シティーハンター』がファンも驚く大ヒットになった要因とは?

エンタメ

2019/3/10

『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉:公式ノベライズ』(北条司:原作、加藤陽一:脚本、福井健太:著)

 2月8日に公開されたアニメ映画『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』が、ファンもびっくりするほどの大ヒットを記録している。このヒットを巡り、「なぜこんなに成功したのか?」という議論が飛び交うことになった。

『劇場版シティーハンター』は公開初週の興行成績ランキングで、4位にランクイン。土日2日間で動員18万人、興行収入2億5700万円のロケットスタートを切った。その後も順調に数字を伸ばしていき、公開から17日でついに興収10億円を突破した。

 昔からのファンがこの記録を支えている大きな一因になっているようだが、それだけ既存ファンを取り込めた理由に、Twitter上で「ラーメン屋でラーメン注文したらラーメン出てきたから」という解説がバズったこともあげられるだろう。

 一見すると、当たり前過ぎることのように感じるが、確かに納得のいくたとえになっている。

 今回の映画では、主人公・冴羽リョウの声優として神谷明が起用された。神谷は80年代の地上波アニメ放送でも冴羽を演じているのだが、他にも、伊倉一恵などお馴染みのキャストが約20年ぶりに再集合。年齢面から考えると、キャスト変更も十分にありえたわけだが、スタッフのこの決断に、ファンは「わかってるじゃないか!」「やっぱり冴羽リョウは神谷明さんしかできない!」と感激したという。

 また、今の時代にはそぐわなそうなスケベでセクハラ気質の冴羽のキャラを、改変することなくそのままにしたことも賛同を得ている。原作者の北条司も、映画の完成披露あいさつで「今回は多少絵が現代的になったくらいで何も変わらない」と“変わらないこと”に太鼓判を押していた。

 作中でドローンやスマートフォンが登場するなど時代にあわせた部分はあるが、ノリやギャグもそのまま。極めつきは、エンディングテーマに「TM NETWORK」の「Get Wild」という憎い演出。まさに「ラーメン屋でラーメン注文したらラーメン出てきた」状態だ。

 ただ、この手法がどのような作品でも通用するかというとそうでもない。

 例えば、爆発的人気を引き起こしたアニメ『おそ松さん』は、赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』を原作とし、大幅改変を施して成功したことが記憶に新しい。2018年7月期のアニメ『深夜! 天才バカボン』も現代風のネタを織り込みまくって成功した例だ。また、現在放送中のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』も、現代化が上手くハマることに。原作とはまるで違う美少女化した“ねこ娘”は、“大きなお友達”から大人気だ。

 一方で、2018年12月14日に公開された映画『ドラゴンボール超 ブロリー』は、『劇場版シティーハンター』のように“そのまま路線”で大成功。90年代に放送されていた『ドラゴンボールZ』のような作画を再現していると話題になり、ファンからは「90年代のアニメのような線の粗さが素晴らしい」と歓喜の声が上がった。

 ファンの好みを的確に捉えるマーケティング力には脱帽だ!

文=桜木カキ

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