定年まで会社にすがりつく残念な人にならないために“今”できることを解説! 会社を辞めて人生に勝つヒント

ビジネス

公開日:2019/6/28

『会社を50代で辞めて勝つ!』(髙田敦史/集英社)

 AIが進化した2035年、企業の形態や会社員たちの働き方はどのように様変わりしているのか? そんな未来予想図が描かれた報告書が、2016年に厚生労働省が発表した「働き方の未来 2035:一人ひとりが輝くために」(ネットで閲覧可能<リンク貼る>)だ。

 それによると、2035年の企業とはもはや「プロジェクトの塊」であり、わずかな運営幹部を除く多くの会社員は、「プロジェクト期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了すれば別の企業に所属するようになる」という。

 つまりこの先の日本社会は「一億総フリーランサー(個人事業主)」の時代へと、大きくパラダイムシフトする公算が高い、というわけだ。

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■50代というキャリアのピークでフリーになるメリットとは?

 そんな大変革期がやってくるかもしれない今だからこそ、広い世代においてぜひ読んでおきたい1冊が『会社を50代で辞めて勝つ!』(髙田敦史/集英社)である。

 著者は、トヨタの社員としてレクサスのグローバルブランディング他、マーケティングを専門に部長職を歴任。そして2016年に50代半ばでコンサルタント・講師としてフリーランサー(個人事業主)へと転身し、現在も活躍中だ。本書はその体験を基に記された、50代から始めるフリーランサー人生を成功させるための「心得・行動・知恵」が学べるノウハウ集である。

 なぜ、定年退職を選ばない、チャレンジングなフリーランサー人生を著者は勧めるのか。その理由はいくつかあるが、いちばんのメリットは「50代というキャリアのピークで退職することで、商品価値を高く保ったまま自分を売り込める」からだ。

 これによって、「定年退職→再雇用もしくは再就職コース」よりも、多くの収入を得られる可能性があるという。

 加えて、サラリーマン時代にはできなかった夢や目標を実現させることで、人生の後半戦を充実させることもできる。著者の場合、現在行っている講演活動がそれにあたるという。

■フリーランサーとして活躍するための「心得・行動・知恵」

 フリーになるための「心得」として著者が筆頭にあげるのは、「辞められる人は、40代までに自分の専門分野が固まっている」ということ。

 理想的なキャリアプランとして、「若い頃にいろんな仕事をこなし、30代半ばくらいから専門領域で実績を上げ、40代後半からはその領域のマネジメント的立場で組織の指揮、運営を行っている」と、フリーランサーとして活躍する道はいくらでも拓けるという。

 本書では他にも合計10の「50代で会社を辞めるための心得」が具体的に記されているので、興味を持った人も不安に感じたという人も、そのポイントを本書で確認していただきたい。

「独立する前にやっておくべき20の行動」より、一例をあげよう。本書には、「自分の強み・弱みを知るための自己分析の方法」や、「自分の市場価値を調べる」「家族への相談」「身近なロールモデルを探す」他、さまざまなアドバイスが記されている。

 その中でも筆者が自身の体験からもっとも重要に感じたのは、「勤めている会社やそのクライアント」を、将来のビジネスパートナーと想定して、良好な信頼関係を築いておくことである。

 本書は、「サラリーマン人生で培ったスキルや人脈を最大限に生かした独立」を想定している。その場合に大切なことは、出身会社を含めて「いかに自分のファン・味方を増やすか」なのだ。従って、退職のタイミングや辞め方で周囲ともめたり悪印象を残したりしないよう、入念な準備をする必要があることを著者は強調している。

 他にも「フリーランスとして生きるための15の知恵」など、読めばフリーとなることへの不安を払拭させてくれるような実践的なアドバイスも数多く記されている。

 こうしたヒントを、なるべく若いうちから読んで知識として蓄えておくのが得策だ。著者によれば、企業での50代といえばいかに功労者といえども、何かと「お荷物になる世代」「終わった世代」と見られ、否が応でも肩身が狭くなるという。また、サラリーマンという肩書きにこだわったところで、定年後の再雇用や再就職で給与は一気に半減してしまうこともある。

 そんな行く末に、その世代になってから気づくのでは遅いのだ。少しでも早く自分のライフプランを描き、焦らずに実行していくことが、これからのライフスタイルなのだろう。本書はその絶好のガイドブックとなるはずだ。

文=町田光